湾岸にみるマンション市況の底堅さ 用地不足も下支え不動産の現場から

海外の需要も捉えている。タワマンといえば投資目的の中国の富裕層というイメージがある。吉野氏によると「シティタワーズ東京ベイではこれまで湾岸エリアで販売してきた物件とは異なり、欧米の投資家が賃貸にまわすのを前提に買っている。アジア勢の買いは実需」という。

こうした内外の需要は価格にも反映される。同物件の価格表によると、第1期で販売された住戸の3.3平方メートル(坪)当たりの平均単価は約320万円だった。第2期分の平均単価は350万円と1期に比べ1割近く上がっている。

積み上がりにくい潜在在庫

さらに、マンション市況を支える別の要因もある。ある大手不動産会社の社長は「マンション建設に適した土地が少なく、発売できる数には限りがあるため市況の先行きは強い」とみる。都心ではホテル事業者や長期滞在の外国人向けのサービスアパート業者との間でマンション専業が土地を買い負けている。

国土交通省によると、18年1~3月期の全国分譲マンションの着工件数は前年を下回った。不動産会社の用地取得が細っている状況を反映している。三井住友トラスト基礎研究所の菅田修主任研究員は「着工戸数の減少が続けば、発売を開始している物件の中で未だ売りに出されていない戸数、いわゆる潜在的な在庫は積み上がりにくくなる」と指摘する。

もちろんマンション市況は金利の変化に敏感だ。菅田氏は「中長期的に低金利環境が継続することが前提条件となるが、分譲マンションの買いやすさは足元の状況から変化しにくい」とみる。マンション開発・販売の現場をみる限り、市況が大幅に悪化する見通しは立てにくい。

〔日経QUICKニュース(NQN) シニア・エディター 齋藤敏之〕

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