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仮想通貨、流動性の向上が必要 ビットフライヤー社長 仮想通貨の実相(16)

2018/1/19

1月18日にかけてのビットコイン価格急落はかなりのものだった(ビットフライヤーの画面より)

2017年はビットコインをはじめインターネット上の仮想通貨の存在感が強まった。一方で年末から価格は急落しており、年明けも18日にかけては仮想通貨全体の時価総額が一時3分の2になるほどの価格下落があった。入出金の遅延など価格以外の課題も多い。こうした問題が起こる背景や対策につき、国内最大の仮想通貨取引所であるビットフライヤーの加納裕三社長に投資家保護の観点などから話を聞いた。

■新通貨の誕生、投資家の関心薄れる

――昨年はビットコインから分裂して次々と新通貨が誕生しました。足元でもその動きが続いているようですが、どうみていますか。

「こうした動きの背後には、ブロックチェーンの技術や革新性を信じてビットコインをよりよいものにしたいという人たちだけでなく、単純に新通貨を売って利益を得ようとしている人たちも存在する。ただ、現実にはその見極めは難しい」

「ビットフライヤーでは、通貨の安定性や安全性を考え、分裂で誕生した新通貨が恒久的であって、法的にもコンプライアンスの観点からも問題がなければ、(現状の6通貨に加え、新たな)取り扱い通貨として検討する方針だ。金融庁が認可した仮想通貨のリストに入っていない通貨を扱うことは基本的にしない。18年もしばらくは新通貨誕生に向けた動きが続きそうだが、投資家の関心がだんだん薄れてきているのも事実だ」

「仮想通貨決済が本当に便利だとより多くの人に体感してもらいたい」と加納社長は話す

■顧客資産の保護を最優先

――取引所最大手として18年の仮想通貨業界をどうリードする考えですか。

「顧客資産の保護を最優先に、安心して取引できる環境を整備したい。海外では取引所で本人確認を怠ったり、仮想通貨がマネーロンダリング(資金洗浄)に使われたりするケースがある。国内でも違法業者が増えているようで、仮想通貨市場全体の発展に影を落としかねない。業界のリーダーとしてセキュリティ強化はもちろん、内部管理やインサイダーなど多岐にわたる規定を設け、市場全体の模範になれればと思う」

「仮想通貨はまずは流動性の向上が必要だと感じている。ビットフライヤーは証拠金取引を含めると世界最大の流動性を有しており、米国の子会社とも連携しながらこれをさらに強化していく。急激な相場変動をできるだけ防ぎたい」

――実際には昨年12月の相場急落時、一時的に入出金がしにくくなりました。

「各銀行が仮想通貨の取引に設定している入出金の上限に達したことで遅れにつながったケースが大半を占めていたようだ。銀行での一日あたりの(処理可能な)取扱件数を増やしてもらったり、システム対応してもらったりして、足元で対応を進めている」

■顧客拡大が変動率を抑制も

――実際の通貨や他の金融商品などと比べた仮想通貨相場のボラティリティー(変動率)の高さをどうみますか。

「変動率が高いのと低いのと、どちらが健全な市場かというのは簡単には判断できないが、変動が大きすぎると決済通貨としては使いづらくなってしまう」

「ビットフライヤーでは決済サービスの普及によって、仮想通貨決済が本当に便利だとより多くの人に体感してもらうことを目標にしている。変動率を直接コントロールできるわけではないが、顧客拡大による流動性の向上で変動率が抑えられる側面はある。決済通貨としての普及に向けて流動性向上に努めたい」

――物品購入などの際の決済通貨としてのビットコインのニーズは増えているのでしょうか。

「仮想通貨での支払いに対応した店舗は増えており、利用者もここ数カ月間で増加しているようだ。いまは多くが投機目的の取引だが、それでは市場として長期的には成り立たなくなる。今後も支払い対応店舗を増やすなどして決済サービスを強化したい」

■ICO、市場整備へ

――ビットコイン以外の仮想通貨を決済通貨として扱う可能性はありますか。

「いまのところビットコインが最大の信頼を得ているのは事実だが、仮想通貨市場の発展に伴い、いつかほかの通貨に抜かれる日が来てもおかしくない。別の通貨が決済通貨として顧客の支持を集めるようになれば、扱うことも検討したい」

――仮想通貨技術を使った資金調達(ICO=イニシャル・コイン・オファリング)の国内での市場整備も必要になりそうです。

「ICOは新しい資金調達手法として期待できる。健全な成長のために日本ブロックチェーン協会で市場整備に向けて動いている。いまは詐欺と疑われる案件も少なくないため、まずは何ができて何ができないかをクリアにして、ルールを作っていきたい」

■ビットフライヤーとは

ゴールドマン・サックス証券でデリバティブのトレーディングなどに従事していた加納裕三氏が、仮想通貨交換業やブロックチェーンの開発などを目的に2014年1月設立。現在はビットコインをはじめ仮想通貨の取引所として国内最大手で、米国や欧州など海外にも進出している。17年9月には仮想通貨取引所の第1陣として金融庁に登録。国内大手金融機関などのほか、日本経済新聞社のグループ企業、QUICKも出資している。

〔日経QUICKニュース(NQN) 尾崎也弥〕

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仮想通貨の実相」はビットコインやイーサリアムの取引現場での最新トピックや関係者の発言を紹介します。掲載は不定期です。

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