どんな不動産会社が開発しているのか。デベロッパーは18年にツカダからこの不動産を取得した「Falcon Holding特定目的会社」だ。だが、Falconは一切表に出ず、窓口は青山綜合会計事務所(東京・港)が務めている。

分譲事業の企画担当は、「BPEA Real Estate」。香港を拠点にし、運用資産は160億米ドルを超えるといわれているアジア最大級のプライベート・エクイティ・ファンドの不動産部門だ。日本の大手不動産会社が売り主ではなく、海外のファンドが主役になっているのが特徴だ。

建設現場はラフォーレ原宿の裏手だ

販売を担当するのは三井不動産(8801)グループの仲介会社、三井不動産リアルティ。ある外国証券のアナリストは「日本の不動産仲介会社のなかで富裕層のリストを最も抱えている会社に販売を任せた」と指摘する。

販売は水面下で

過去最高額を更新するマンションとはどこまで豪華なつくりなのか。取材を申し込むと、三井不動産リアルティの広報担当者は「顧客のプライバシーに配慮して取材を受けていない」と回答した。

通常であれば発売前に売り主による物件サイトが設けられ、大手の住宅情報サイトにも物件が掲載される。この物件に限ってはこうしたサイトは一切なく、三井不動産リアルティから限られた顧客に物件案内が送られ、2月1日から24日まで物件の案内会がひっそりと開かれていた。

ある大手不動産会社の役員は「節税目的の国内富裕層やアジアなど海外の富裕層をターゲットに水面下で販売されている」と明かす。高額マンション首位の座を明け渡した「パークマンション檜町公園」も、水面下で富裕層向けに販売され、「香港の富裕層が最も高い住戸を購入した」(外国証券の不動産アナリスト)といわれている。

都心では森トラストが手掛ける神谷町・虎ノ門エリアの東京ワールドゲート「神谷町トラストタワー」(地上38階建て)の最上階も超高額マンションとして売り出される。ホテルサービス付きで、総戸数10戸、専有面積は最大400平方メートル(約121坪)にのぼる住戸もあるとみられている。こちらも一般の目に触れない水面下で発売される。

「割安」で海外資金流入

長谷工総合研究所(東京・港)の酒造(みき)豊常務は超高額物件の発売について「東京の不動産に対する評価が高まっていることが背景にある」と指摘する。日本不動産研究所(東京・港)の19年4月時点のマンション価格指数(2010年10月=100)によると、東京は115.5、ニューヨーク143.2、ロンドン153.9、香港168と東京のマンション価格は割安だ。

割安な東京の不動産に世界のマネーが集まり続けるほど、「高値を付けた後の下落局面を意識する」と警戒する不動産市場の関係者は増えている。

〔日経QUICKニュース(NQN) 齋藤敏之〕

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