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ビットコイン、デリバティブ取引が拡大 シカゴも参入 仮想通貨の実相(10)

2017/11/10

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 インターネット上の仮想通貨ビットコインの市場が広がりを見せている。健全な市場育成に欠かせない投資家のリスク回避(ヘッジ)手段として、先物やスワップなどの派生商品(デリバティブ)の取り扱いが増えてきた。先物の本場である米シカゴではシカゴ・オプション取引所(CBOE)とシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)が年内のビットコイン先物上場を目指す方針だ。

■ヘッジ手段整えば、投資家の心に余裕

 仮想通貨は時価総額1位のビットコインでさえ市場規模が小さい。取引の自由度を示す「流動性」が乏しく短時間で上下に激しく振れるため、外国為替証拠金(FX)などでディーリングに慣れていないとハードルが高い。もしデリバティブで価格変動のリスクが簡単にヘッジできれば初心者の「参入障壁」はだいぶ下がる。

 ヘッジの手段が整うと投資家は心に余裕が生まれ、パニックで相場が荒れる可能性は低下する。市場が安定するとリスクに敏感な金融機関や事業法人も仮想通貨の取引に興味を示し、市場がさらに厚みを増す好循環になる。

 ビットコインのデリバティブは直物と同様に中国勢が先行し、日米などが後を追う。中国の大手取引所OKコインの香港子会社などが先物を扱い、日本ではビットバンク(東京・品川)が提供している。米国では仮想通貨のプラットフォームを提供するレッジャーXが米商品先物取引委員会(CFTC)の認可を受け、仮想通貨オプションやスワップ、先物の取引・決済業務を始めた。

■コストをかけてもオプションで手当て

 レッジャーXのウェブサイトによると、10月31日は11月3日期日で6000ドルを権利行使価格とするビットコインのコール(買う権利)オプションの取引が成立した。平均のオプション料は355ドル程度。オプションの買い手はコイン価格の上昇が続くとの前提で、コストをかけてでもオプションで手当てしたいと考えたわけだ。

 ドル建てのビットコイン相場は10月31日に一時1ビットコイン=6400ドル台と過去最高値を更新した。このまま高値圏で推移すると、コールオプションの効果が発揮される。

 仮想通貨のデリバティブ市場は今のところビットコインの独擅場だ。ヘッジ手段を持たぬ他の仮想通貨との格差拡大は避けられそうにない。仮想通貨のリサーチやマイニング(採掘)事業を手掛けるアルトデザイン(東京・千代田)は「当面は法定通貨やビットコイン以外の仮想通貨(アルトコイン)からビットコインへの資金流入が続く」と予想していた。ビットコイン直物はなおも上昇基調を保ちそうだ。

〔日経QUICKニュース(NQN) 編集委員 今晶〕

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 「仮想通貨の実相」はビットコインやイーサリアムの取引現場での最新トピックや関係者の発言を紹介します。掲載は不定期です。

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