ジャズフェスの季節到来、東京お薦めライブスポット

03年に世界デビューしてから、チック・コリアや矢野顕子さんら有名アーティストと共演し、数々の名盤を残していますが、今年リリースしたアルバムは「生きる」をテーマにした「ALIVE」。「生きることは進むこと」という彼女の根底にある前向きな姿勢を素直に表した作品です。腰を上げて前に乗り出しながら弾くスタイルが目に浮かぶ、バーンと強く鍵盤を鳴らした勢いのあるオープニング。世界トップクラスのアーティスト達と奏でる、流ちょうかつ激しいピアノトリオの演奏に刺激され、気持ちがどんどん熱くなっていきます。激しいだけではなく、女性らしい優しいグルーヴで包み込む曲もあり、元気のない時にこのアルバムを聴くと、背中を押されるような強い気持ちに。頑張っている女性たちにエールを贈る作品にも思えます。

イリアーヌ・イリアス「アイ・ソート・アバウト・ユー」(ユニバーサル クラシックス&ジャズ)

イリアーヌ・イリアス「アイ・ソート・アバウト・ユー」

ピアノの前に座るといきなりハイヒールを脱いで、裸足で演奏を始める女性ピアニスト。初めてライブで見た時は裸足に驚き、その色気のある演奏スタイルには同性でもドキドキ。エレガントな容姿にもかかわらず、気取らずに自由自在に弾く姿に心を奪われました。テクニックが常に評価されますが、柔らかい音色と流れるような息の長いフレーズで、歌い上げるようなピアノも彼女の特徴。シンガーでもあり、ハスキーボイスで、けだるくささやくような歌もまたセクシー。

アルバムは20枚を超え、方向性もさまざま。ジャズピアニストとしての彼女を満喫するなら、ピアノトリオでジャズスタンダードを演奏している2013年リリースの「アイ・ソート・アバウト・ユー」がお薦め。伝説のジャズトランペッターでボーカリストのチェット・ベイカーゆかりの曲をカバー。そもそもベイカーはボサノバ誕生に影響を与えたといわれ、ブラジル出身のイリアーヌには宝のような存在。また、アルバム「エヴリシング・アイ・ラヴ」は2つのピアノトリオからなる作品で、ミュージシャンが替わる事で変化するイリアーヌの演奏アプローチが聴きどころ。どちらもメンバーとアイコンタクトをしながら、裸足で演奏するカッコいいイリアーヌの姿が浮かび、臨場感が味わえます。

■トゥーツ・シールマンス「ヨーロピアン・カルテット・ライブ」

トゥーツ・シールマンス「ヨーロピアン・カルテット・ライブ」(Challenge Records)

ある時は雨の滴のように、ある時は雲間から射す光のように、表情豊かに味のある演奏を聴かせてくれるベルギー出身のハーモニカ奏者、トゥーツ・シールマンス。口笛を吹き、ギターも演奏する。1940年代から音楽活動を開始し、50年代にはスイングジャズの旗手、ベニー・グッドマンのツアーにも参加。その後もロックやソウル、ポップス系アーティストとの共演や、口笛とギターのユニゾンを1人でこなし1曲を仕上げるなど、新しいことに挑戦。日本のCMにも出演し「ハーモニカおじさん」の愛称で親しまれたことも。しかし92歳を前にした今年3月、高齢を理由に急きょ全ツアーをキャンセルし、引退されました。

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