ライフコラム

子どもの学び

都立両国、復活の舞台裏(下) 受験は男女混合団体戦

2014/11/16

 東大合格者63人を誇った都立の名門、両国高等学校「復活物語」の後編。教育界に衝撃を与えている授業は、教師たちの「教え合い」によって磨かれていた。生徒の結束を強め、「団体戦」で受験を乗り越えるノウハウとは。

 午後5時、東京・錦糸町駅に近い都立両国高等学校の校舎が夕闇に包まれる頃、教師が1人、またひとり教室に集まってくる。

■スリルとサスペンスの授業

 「学び合い広場」

 十数人の教師が、教科を超えて「いかに生徒主役の授業を実現するか」について話し合う。1~2カ月に1回の頻度で開催され、毎回、1人の教師が授業を実演する。集まった他の教師は、生徒役となって授業を体感する。

 この日は、国語科教諭の小野寺伸一郎が授業を展開した。配ったプリントには、短い古文が掲載されている。まず、それぞれが1人で読み込み、その後、グループになって疑問点を話し合って、内容を探っていく。そして、結果をクラス全体で発表し、最後に小野寺が解説する。

 この日の古文は、『醒睡笑』という江戸時代前期に庶民の間に広まった「笑い話」をまとめた作品だった。小野寺がよく利用するテキストだ。他にも、『伊勢物語』のパロディーである『仁勢物語』や怪談などを授業で使っている。評論や随筆は一切、使わない。

 「授業にはスリルとサスペンスが必要だと思っている」(小野寺)からだ。

 それは、自身の体験がベースにある。都立高校で学んだが、授業は退屈で、居眠りばかりしていた。

 「何でこんなにつまんないんだろう、と。自分だったら、こういう授業をするのに、と想像していた」

 だから、教師になると、「眠くならない授業」を目指した。漢字と仮名の対応表を配り、パズル感覚で生徒たちに解かせていく。そして、「おち」が分かった生徒が、教室のあちこちでクスクスと笑い声を上げる。その時、小野寺は「今日の授業は成功した」と確信する。

 現代語訳は一切やらない。文章をバラバラに切り刻んで分析するため、教科の本質的な喜びが感じられないからだ。だから、古文をそのまま楽しむ。それは、英語科のオールイングリッシュの授業と通じる思想がある。

 そこに、出席した多くの教師も共感する。

 「僕が理科の授業でやってきたことと似ている。生物や地層を研究してきたから、そのロマンを生徒に感じてほしい。どの教科でも共通していることだよね」(副校長の藤井英一)

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