住みます芸人、お笑いで地方創生 吉本興業の挑戦

地方経済をいかに活性化するか。長年の課題であり、安倍内閣も地方創生を看板政策に掲げている。ただ現実は厳しく、公共事業による景気てこ入れは限界にきており、国家戦略特区もまだ起爆剤になっていない。そんな中、吉本興業が「お笑いで地方経済を元気にしたい」と動き始め、注目されている。東京や大阪で生き残れない芸人を全国47都道府県に派遣、定住させ、地元のイベント参加などを通じて地方経済の活性化に一役買う。「住みます芸人」と呼ばれるこのプロジェクトから、地方自治体と連携した経済活性化策も実現し始めた。
ハリセンボンら人気者も登場し、観客は大喜び

静岡県沼津市。10月下旬の日曜日、JR東海道線沼津駅前のビルに次々と人が吸い込まれていく。元は西武百貨店のあったビルだが、地域経済の落ち込みによって撤退した。跡地をどうするのか。そこに名乗りを上げたのが吉本興業だった。沼津ラクーンよしもと劇場を今年7月に開き、漫才などのステージを毎日開いている。「平日でも7~8割の入り。土日祝日はいつも満員」(河野康弘支配人)。

ここに毎日出演しているのが静岡県の住みます芸人「ヌマンズ」の2人だ。原いい日さんは沼津市出身。地元高校を卒業後、専門学校を経て吉本の芸人育成学校へ。3年前に東京でデビューしたが、まったく売れなかった。出番は多くて月に2回ほど。仕事がゼロで給与明細が出ない月も珍しくなかった。2011年に住みます芸人プロジェクトが始まるとすぐに応募した。8年ぶりに戻った故郷は目抜き通りもシャッター街になり、少子高齢化が進む、典型的な地方衰退都市になっていた。住みます芸人として、なんとか地元を盛り上げたいと思った。

静岡県の人気者「ヌマンズ」の2人

商店街のイベント参加やローカル放送局への出演などの傍ら、今は毎日ステージに立つ。東京や大阪から応援で出演する先輩芸人たちの芸を間近で見ることができ、勉強になるという。常設劇場ができて、毎日出番があるので、アルバイトをしなくても生活できるようになった。この日のステージでは東京から平成ノブシコブシ、ハリセンボンなどの人気芸人も出演したが、ヌマンズへの声援は決して引けを取らなかった。