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相づちのバリエーションを増やせ

立川談笑

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NIKKEI STYLE

 朝からあちこち駆け回って頭下げて、上にも下にも気を使って、仕事が終わってさらに帰宅ラッシュでひと揉みされた挙句にようやく我が家にたどり着いたおやじが、最後のひと仕事とばかりに「よいしょっ!」と力を出し切るごとくドアを開けて、「ただいまー!」と声を吐き出す。これで本日の業務、しゅうりょう。ゴール!とくればいいんですがねぇ……。

一日の汗とストレスをすっかり洗い流して、パジャマ姿で頭から湯気を上げてたり上げてなかったり。強めのエアコンが心地いい。テーブルにはレンジでチンしてもらった晩メシの残りが並んでいます。

おっと残り物じゃない。最初から取り分けてくれてたんだ。キンキンに冷やしたビールをキューっとあおって「ふうっ!」と大きく息を吐いて、ゆとりのひと時…といきたいのに、横からカットインしてくる存在があります。そう、ヨメさんです。

「今日、保護者会があって。○○ちゃんのママがいきなりこんな話を切り出して……」

「夕方のニュースでやってたけど、あの一袋詰め放題とか見てて嫌になっちゃった」など。延々と続く愚痴とも噂話ともつかないような語りに、気分が濁りかけます。

(また始まった。今オレはその、どうでもいい話に付き合わなきゃいけないのかなあ)

日常の人と人との会話には大きく2種類、二つの側面があります。理性的なトークと情緒的なトークです。理性的なトークとは、会議その他の議論、仕事の指示など。情緒的なトークとは、デートで異性を口説いたり、部下のモチベーションを上げたり、商談相手にお世辞を言ったりです。

当然、二つが重なることも多々ありますが、その重なりを自覚して発言するか自覚なしで暴走するかは大違いです。

自覚している好例としては、見事なプレゼンテーションです。理路整然と分かりやすく論理を重ねつつ表情や語り口にも気を配って聞き手を情緒的に包み込む。活力ある経営者の訓示や優れた先生の授業も同様です。

逆に、無自覚でないまぜにする悪い例としては、業務上の冷静な指導であるはずが人格非難の域に突っ込む「パワハラ」がまず挙げられます。親が子にしつけする場面でも見られます。そりゃ、あんたのイライラをただ言葉にしてぶつけてるだけだろう、みたいな。

おっと、話はこっちじゃありません。ヨメさんトークだ。

「暑いわねえ」

「ほんと。暑くて嫌になっちゃう」

「うちなんか連日お昼はそうめん」

「そうめんいいよねー。そうめん箱買いしようかと思って」

なんて情緒的な会話は、やりとりする情報自体にはさしたる意味はなくても人間関係を保つ上で役に立ちます。効能としては挨拶に近いものがありますね。さらにこの手の会話を強く支えるのが相づちです。このスキルが高いのはやはり女性。「あらまー」「そうなの?」「ひっどーい」「わかるわかる」「だよねー」。

男性でも若い人たちは上手に見えます。メールやラインでのちょっとしたやり取りを日々繰り返すことで鍛えられているからでしょうか。ともかく40歳代やそれ以上のおじさんたちに、この「相づち力」が大いに欠落しているのです。私たちはすぐに「じゃあこうすればいい」みたいに理性的会話として問題点を明らかにしたくなりますよ、体質的に。でも情緒的な会話に解決策はいらないんです。

「暑いですねえ」

「暑いなら服の素材を工夫するといいよ。僕のお薦めはね、ユニクロのエアリズム」

って、そんな話じゃあ、ないんだ。彼女たちは、解決したいんじゃなくて、「言いたい」「聞いてほしい」。もっと言うと「ひたすら共感してほしい」んです。ここをおろそかにするからおじさんたちは、定年になってから熟年離婚だとか切り出されちゃってぼんやりすることになります。

とはいえ、たかだか相づちといっても意外に難しいものです。ひたすら「うん」「そうだね」を繰り返すばかりでは「ねえちょっと、真剣に話を聞いてるの?」ということになります。なにしろあちらは情緒的トークのプロです。おじさんとしては相づちのバリエーションを積極的に研究しないと歯が立ちません。

そこで今回は、案外使い勝手のいい相づちを紹介します。それは「まあ、ねー。あれはあの人の商売だからねえ」です。「商売『みたいなもん』だから」も可です。

「本人に気持ちがあっても立場があるから思い通りにするわけにいかないし、もともとそんな気持ちだってどうだか分かんないしねえ」という発言を投下することによって、ただでさえ測りかねる人の真意や感情を、本音&建て前論まで絡めて話題を深化させることができます。

つまり、情緒的トークが盛り上がること請け合いです。内容としてはかなり混乱するところですが、そんなのは知ったこっちゃありません。こちらとしては「親身になって真剣に」話を聞き、「君が正しいのを前提として」なんていう姿勢をアピールすることだけが目的なんですから。じゃんじゃんダラダラと気が済むまで喋り倒してもらおうじゃありませんか。震えるぞハート!燃えつきるほどヒート!って何書いてんだこりゃ。

ともかく身近な人のそういう情緒面をどーんと受け止めることも、わしらおじさんの人生ですよ。

これを読んで「適当なことばっか言ってんじゃねえよ」とご不信を抱く方へ。立川談笑がどうせ商売で言ってるだけです。軽く読み流してやってくださいな。

立川談笑(たてかわ・だんしょう) 1965年、東京都江東区で生まれる。海城高校から早稲田大学法学部へ。高校時代は柔道で体を鍛え、大学時代は六法全書で知識を蓄える。予備校講師など様々なアルバイトを経験し、93年に立川談志に入門。立川談生を名乗る。テレビの情報番組でリポーターを務めながら芸を磨く。96年に二つ目昇進、2003年に談笑に改名。05年に真打ち昇進。古典落語をもとにブラックジョークを交えた改作に定評がある。十八番は「居酒屋」を改作した「イラサリマケー」など。国立演芸場(東京)などで毎月独演会を開くほか、吉笑(二つ目)、笑二(同)、笑笑(前座)の弟子3人とともに武蔵野公会堂(同)で一門会も開催。フジテレビ「噺家が闇夜にコソコソ」に出演中。
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