相づちのバリエーションを増やせ立川談笑

朝からあちこち駆け回って頭下げて、上にも下にも気を使って、仕事が終わってさらに帰宅ラッシュでひと揉みされた挙句にようやく我が家にたどり着いたおやじが、最後のひと仕事とばかりに「よいしょっ!」と力を出し切るごとくドアを開けて、「ただいまー!」と声を吐き出す。これで本日の業務、しゅうりょう。ゴール!とくればいいんですがねぇ……。
高座を前に控室で準備する落語家の立川談笑さん。気合を入れる

一日の汗とストレスをすっかり洗い流して、パジャマ姿で頭から湯気を上げてたり上げてなかったり。強めのエアコンが心地いい。テーブルにはレンジでチンしてもらった晩メシの残りが並んでいます。

おっと残り物じゃない。最初から取り分けてくれてたんだ。キンキンに冷やしたビールをキューっとあおって「ふうっ!」と大きく息を吐いて、ゆとりのひと時…といきたいのに、横からカットインしてくる存在があります。そう、ヨメさんです。

「今日、保護者会があって。○○ちゃんのママがいきなりこんな話を切り出して……」

「夕方のニュースでやってたけど、あの一袋詰め放題とか見てて嫌になっちゃった」など。延々と続く愚痴とも噂話ともつかないような語りに、気分が濁りかけます。

(また始まった。今オレはその、どうでもいい話に付き合わなきゃいけないのかなあ)

日常の人と人との会話には大きく2種類、二つの側面があります。理性的なトークと情緒的なトークです。理性的なトークとは、会議その他の議論、仕事の指示など。情緒的なトークとは、デートで異性を口説いたり、部下のモチベーションを上げたり、商談相手にお世辞を言ったりです。

当然、二つが重なることも多々ありますが、その重なりを自覚して発言するか自覚なしで暴走するかは大違いです。

自覚している好例としては、見事なプレゼンテーションです。理路整然と分かりやすく論理を重ねつつ表情や語り口にも気を配って聞き手を情緒的に包み込む。活力ある経営者の訓示や優れた先生の授業も同様です。

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