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懐かしい下町の思い出 子供の娯楽は紙芝居

立川談笑

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NIKKEI STYLE

 先日(10月2日)、この連載との関連で東京大手町の日経新聞本社で「談笑落語」をぶちかましました。大勢のお客様にお越しいただき、また好評でなにより。その時、披露した大学時代の思い出話は10月18日付のこの欄で公開された通りです。そこで今回はそれ以前の話。私の履歴書エピソードNo1、懐かしい下町の思い出話です。

生まれは東京都江東区、北砂は下町も下町。男ばかり三人兄弟の次男坊です。親父は職人で家族でアパート住まいでした。炊事場とトイレは共用。風呂はもちろん銭湯通いと、今からすればずいぶん質素な感じがしますが、当時ではごく一般的な暮らしでした。

昭和40年代の下町だと、路地はまだ舗装がされておらず、雨が降るとぬかるんで水たまりができました。ほんとにぐっちゃぐちゃ。「ゴムなが」は……今や死語でしょうね。雨の日にはいていたゴム製の長靴をそう称しました。

メンコ、ベーゴマの最終世代を自負しています。勝てばもらえる、負けたら取られる。小さなギャンブルです。メンコの四辺をモルタルの壁で削ったり、ベーゴマの底をヤスリでとがらせたり。工夫するのが楽しかったですね。

紙芝居のおじいさんも定期的に来たものです。「ピー、ピー、カチ!カチ!」とホイッスルと拍子木が町内に鳴りわたると「紙芝居が来たよ~!」の合図。そのころは「音」が町内の告知をしていたようです。物売りもすべて売り声などの音ですぐにわかりました。

「えー。いーかけー、こーもりの、しゅうぜん」は、いかけ屋さん。鍋の穴開きや雨傘の修繕、刃物研ぎなんかをしてくれます。

「カラーン、カラーン」と大ぶりの鐘を鳴らして来るのはおでんの屋台。

「トントン、トーン、トトント、トントーン」と小さな平太鼓を叩いて来るのはきび団子屋さん。

「たーけやー、あぁあ、さおぉ、だけええ、えぇ」

「毎度お騒がせしております。チリ紙交換車が参りました」

「いーし焼ーきいもー。おいもー、お~。おいも、おいも、おいもぉおお~」。なんて、きりがない。

おっと、紙芝居の話だ。

実用車と呼ばれた頑丈な自転車の荷台に、古びた木製の紙芝居&物販システムを装着したおじいさんがやってくるんです。子どもの目に不審なおじいさんです。70代と思しき痩せぎすのおじいさんが帽子をかぶって黒眼鏡をかけてます。ふちは普通でグラス部分だけがやたらと真っ黒い。あれはまさに黒眼鏡です。今でいうサングラスとは違います。

おじいさんは、駄菓子屋のごとく食べ物を子供たちに売ることを生業にしています。売るのはソフトせんべい、梅ジャム、あんずジャムが基本。私が母から許されたのは唯一「ソースせんべい」だけでした。他は決して口にしてはいけない、と。理由は「危ないから」。わはは。

添加物もあるのでしょうが、最も食べてはダメよと言われていたのが寒天です。もなかの皮を器にして、3cm立方くらいのむき出しの寒天をのせて謎のシロップをかける。おじいさんが素手で提供するのですから、衛生的にはちょっと……。それでも腹が痛くなったなんて話は聞かなかったから、昔の子供は丈夫だったのか、それとも現代が衛生に敏感すぎるのか?

20~30人ほど集まった小学生と未就学の子らに駄菓子が行きわたると、お目当ての紙芝居が始まります。「黄金バット」はテレビ版とはまるで違う陰気なもの。

私のお気に入りは「元気なチョンちゃん」。上演が始まる時、全員が大声でタイトルコールを叫ぶのですが、ちょいちょい悪ガキがおじいさんに気づかれないように小さな「ヨ」「や」の字を手で覆ったものです。そしてみんなで一斉に叫びます。

「げーんきな、●ーん●ーん!」。

あのライブ感の楽しさは、私にとって落語の原点のような気がします。というか、ここで何書いてんだか(笑)。

(次回は11月19日に掲載予定です)

立川談笑(たてかわ・だんしょう) 1965年、東京都江東区で生まれる。海城高校から早稲田大学法学部へ。高校時代は柔道で体を鍛え、大学時代は六法全書で知識を蓄える。予備校講師など様々なアルバイトを経験し、93年に立川談志に入門。立川談生を名乗る。テレビの情報番組でリポーターを務めながら芸を磨く。96年に二つ目昇進、2003年に談笑に改名。05年に真打ち昇進。古典落語をもとにブラックジョークを交えた改作に定評がある。十八番は「居酒屋」を改作した「イラサリマケー」など。
<今後の予定>国立演芸場(東京)での独演会11月12日、12月9日、2015年1月5日、吉笑(二つ目)、笑二(同)、笑笑(前座)の弟子3人とともに武蔵野公会堂(東京都武蔵野市)で開く一門会11月30日、12月19日の予定。
立川談笑HP http://www.danshou.jp/ 

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