多忙な年末、クスリと笑って健康に
立川談笑
【面接にて】
「すいません。給料はいくらですか」
「そりゃもう、君の働く意欲次第だよ」
「あっちゃー。そんなに安いんですか」
【面接にて その2】
「履歴書によると、あなたはずいぶん転職が多いようですね。責任をもって仕事をすることができますか」
「責任? もちろん! 自慢じゃありませんが、どの職場に行っても『責任問題』となると、必ずその中心に私がいたんですから」
【だらけたオフィスで】
どうにも意欲のない社員たちにあきれて、社長が一計を案じた。
「みんな聞いてくれ。来月からこの部署は猛烈に忙しくなる。長時間の残業や早出は当たり前。休日返上で死ぬ気で頑張ってほしい」
「ええー」「まじかよー」「勘弁してよー」
あちこちから不平とため息がもれる。
「それから、この部署とは別に新しいプロジェクトを立ち上げる。そこはやる気がなくても終日だらだらしていればそれでいい。充実感もないし、会社に全く貢献できない場所だ。もしもそちらに異動したい者は、この場で起立してくれ」
1人を除く全員が気だるそうに立ち上がった。
「なるほど。楽なプロジェクトへの希望者はこれで全部だな。では教えてやろう。そのプロジェクト名は『無職』。手続きは追ってするが、もう出社には及ばない。今すぐ帰りなさい」
社員たちがぞろぞろと立ち去る中、独り座っている若者に社長が満足そうに近づいた。
「君が真っ先に立ち上がると思っていたよ。案外根性があるじゃないか」
「いやあ、立ち上がるなんてかったるくって」
【赤字、赤字】
「『給料を上げてくれ』だと? 我が社が減収続きなのを分かって言ってるのか。寝ぼけたこと言ってる社員は、共同経営者にしちまうぞ」
【自覚あり】
「ウチの社長、バカだよな」
「本当にバカ。だって平気で俺たちみたいなのを雇ってるんだぜ」
【遅刻】
「また遅刻か。お前の仕事はいつ始まるのか分かってんのか?」
「もちろん。僕が出社してから、ですが?」
【秘書の思いやり】
「お言葉ですが社長、あまりに思いやりに欠けたご判断かと」
「うるさい。俺はおまえの意見を求めたか? お前は黙って俺が言う通りにメールを打っていればいいんだ。秘書のくせに出しゃばるな」
「失礼しました」
出来上がったメールの本文は以下の通り。
「ええと、メールだメール。初冬の候、貴社ますますご発展のことと、お喜び申し上げますと。なぁにがお喜びなもんか。ウチの利益を横取りしたいだけの泥棒みたいな会社だ。ロクでもない。このたび頂戴しましたご提案を、ナンだ。会議にかけて検討したとかなんとか書いとけ。前向きに検討しますとかな。時間稼ぎできるような言い回しで。こっちはその間に他社に根回しして、こいつの裏をかいて鼻をあかしてやるんだ。わはは。ざまあみろ。できたら送信しとけ。後で目を通すから。おっといけねえ。こんなくずメールで時間食っちゃった。出かけてくるからな」
このメールを送信せず、そっと未送信ボックスに保存しておく。ここが秘書の気配り思いやり。
【立川談笑よりご挨拶】
笑いは健康にいいという研究結果があるそうです。とりわけ大笑いよりも軽い笑いの方が健康効果が期待できるとか。……クスリ、っていうくらいで。最後はダジャレか! 今年もあと1カ月。頑張りましょうね!!!
(次回は12月17日更新の予定)
<今後の予定>都内での独演会は12月9日、2015年1月5日、2月8日、3月14日、4月21日、吉笑(二つ目)、笑二(同)、笑笑(前座)の弟子3人とともに武蔵野公会堂(東京都武蔵野市)で開く一門会は12月19日、15年1月16日の予定。
立川談笑HP http://www.danshou.jp/
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