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美術展

画家たちが熱狂 点描の冒険、歩みたどる

2014/11/3

 19世紀末のフランスで、印象派に刺激された若い画家たちが新たな光と色の表現に取り組んだ。その「新印象派」を世界12カ国からの約100作品で紹介する「新印象派―光と色のドラマ」展が、あべのハルカス美術館(大阪市阿倍野区)で始まった。当時最新の科学理論を取り入れた「点描画」を生み、国内外の画家たちを熱狂させたおよそ20年のあゆみをたどる内容だ。
ポール・シニャック「髪を結う女、作品227」(1892年、エンコースティック、裏打ちされたカンバス、59×70センチ、個人蔵)(C)Droit Reserve
クロード・モネ「税関吏の小屋・荒れた海」(1882年、油彩、カンバス、58×81センチ、日本テレビ放送網株式会社蔵)

 洗面台の前で身づくろいをするのは、画家シニャックの恋人ベルト。シニャックの「髪を結う女、作品227」では、ドレスを結ぶ黄色いリボンや鏡の前の香水ビン、壁のうちわなどが対で描かれていることに気づくだろうか。ベルトの頭上でそっとふれあう指といい、どれもが2人の親密さをほのめかす。

 幸福の絶頂にある彼女を一段と光り輝かせているのは、点描の作用である。絵の具を混ぜずに色の粒を重ね、さらに補色を対比させて目がチカチカするような効果を生んでいる。

ジョルジュ・スーラ「セーヌ川、クールブヴォワにて」(1885年、油彩、カンバス、81×65.2センチ、個人蔵)(C)Droit Reserve

 この絵に対面した折には、ベルトの髪とふくよかな肩や腕、それをとりまく鏡や壁をじっくりご覧いただきたい。色調の異なる青やオレンジ、アクセントの白の色の粒が揺らめいているように感じることだろう。本展総監修者のマリーナ・フェレッティ・ボキヨンさんは点描の魅力を「色彩による詩的なバイブレーション(振動)」と話す。

 印象派を手掛かりにしてスーラやシニャックが点描に取り組み、新印象派と名付けられたのは最後の「印象派展」が開かれた1886年のことである。「野獣派(フォービスム)」と揶揄されたマティスらの登場が1905年。ここに掲げた印象派のモネと野獣派のドランの絵を比べてみれば、どれほどの地殻変動が起きたのかがわかる。その20年に大きな役割を果たしたのが新印象派だった。

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