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職場の知恵

2014/9/30

職場の知恵

同社の施設はこれまで東京・港の本社から少し離れたところにあったが、9月に本社敷地内に移転した。「昼休みに授乳するのも楽」(寺内さん)だが、移転には別の効果もある。「より社員の目に触れやすくなることで、男性も含め、仕事と子育ての両立について考えてもらう契機になれば」と人事・総務部課長補佐の井上美緒さん。

ここでは特定の日時だけ預かる一時保育もしており、妊娠中の妻が病院に通う日に、子どもを連れてくる父親もいた。同社は残業削減に向け早朝勤務へのシフトも始めている。長時間労働の見直しや意識改革も含め、様々な取り組みをセットにして女性が活躍しやすい環境を整えようとしている。

政府は「女性の活躍」を成長戦略の柱に掲げる。それには、保育サービスの量を増やし年度途中でも入りやすくすることや、職場の意識改革を進めることが欠かせない。事業所内保育施設の利用状況からは、これらの必要性がくっきり浮かび上がってくる。

地域の利用促す

アルビオンの施設は15年度から新制度に移行する準備を進めている

事業所内保育施設は全国で約4300カ所(13年3月)ある。病院内の施設が多いが、病院以外も約1700カ所で前年より72カ所増えた。

15年から始まる新しい子育て支援制度では、事業所内保育も柱の1つに位置づけられた。保育士の数や設備などで一定の条件を満たし、地域住民にも開放する施設を自治体が認可し、公費を投入する。従来の行政の補助は限定的で、企業の負担が重かった。

化粧品メーカー、アルビオンは来年4月から、東京・中央にある同社の施設を新制度に移行させる予定で準備を進めている。定員を増やし、中央区民の「地域枠」を10人分設ける。「もともと社会貢献のために始めた施設。地域の方にも役だってもらいたい」と同社の担当者は話す。神戸市も、新制度を利用する事業所を募集、このほど病院など5カ所が決まった。

ただ、まだどうするか様子見のところも多い。従業員が入りにくくなることなどを懸念する声も強く、ハードルは低くない。

保育サービス大手で事業所内保育施設の運営を手掛けるポピンズの中村紀子社長は「事業所内保育施設は女性の就労継続のために大きな役割を果たしており、企業からの問い合わせも増えている」と話す。しかし「国の補助は不十分で、新制度に移行するための基準も高い。企業を後押しできるよう、税制優遇なども含め、一層の見直しが必要だ」と強調する。

(編集委員 辻本浩子)

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