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3つ星スイーツ

2014/10/30

3つ星スイーツ

●ちなみに

お酒と洋菓子の相性は非常に良く、歴史も古い。ケーキをラム酒の効いたシロップに浸した「ババ」や「サバラン」と呼ばれる菓子は18世紀の欧州にはあったとされる。また、ボンボン・ショコラの中身部分で「ガナシュ」と呼ばれる軟らかいクリーム状チョコレートには酒類を加えて風味をつけたものが多い。日本でも1970年代にはウイスキーボンボンが流行した。ウイスキーに砂糖を溶かしたシロップを再結晶化させてチョコレートの中に入れたもので、口にいれるとウイスキーの香りが強く立つ。最近では日本酒や焼酎を使った洋菓子も登場している。

竹鶴政孝氏が北海道の余市で日本産のウイスキー工場を完成させてから、今年で80年。大麦を発芽させた「モルト」を糖化させて蒸留し、たるに入れて熟成させることで独特の風味が加わり、まろやかになっていく。

ウイスキーを知らない人でも「ピュアモルト」と「シングルモルト」という言葉を聞いたことはあるのではないか。ピュアモルトは大麦麦芽だけを使って作るという意味で、他の穀物を原料とするグレーン原酒と区別される。ウイスキーは、ブレンダーと呼ばれる職人が複数の原酒を合わせて求める味や香りに作り上げていくことが多く、ピュアモルトウイスキーといえば、複数の蒸留所のモルト原酒だけを最適な配合になるようにして作ったということになる。一方のシングルモルトは、1つの蒸留所のモルト原酒だけを使って作ったという意味だ。

酒の風味を残しつつ、おいしい菓子に仕上げるのはさらに難しい。バターやカカオ、砂糖などの種類や配合によっては、どちらの風味も損ねてしまいかねない。「酒スイーツ」は日本人の繊細な味覚センスが研ぎ澄まされた“クールジャパン商品”ともいえそうだ。

(吉野真由美)

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●専門委員の横顔(五十音順)

下井美奈子さん

1973年生まれ。実家の母が菓子教室講師ということから、子どもの頃からスイーツの食べ歩きや菓子作りを行う。一般企業を退職した後、パリの料理学校「リッツ・エスコフィエ」で料理・製菓の資格取得。またパリの製菓料理学校「ル・コルドン・ブルー」「ルノートル」で学び、2年間のロサンゼルス在住中にも各国の製菓・料理を習得。情報サイト「オールアバウト」では立ち上げの2001年から、スイーツガイドを担当。多数のメディアで洋菓子情報を紹介するほか、商品開発、レシピ提供を行うスイーツコーディネーターも務める。共著に「TOKYO美食パラダイス」など。

下園昌江さん

1974年生まれ。大学卒業後、専門学校やパティスリーで製菓の技術や理論を学んでおり、製法にも詳しい。菓子の食べ歩き歴は15年。近年は特にフランス菓子に力を入れ、フランスを巡るツアーや焼き菓子を中心とした菓子教室も開催。監修本に「とびきりスイーツ見つけた!」。ウェブサイト「Sweet Cafe(スイートカフェ)」主宰。

平岩理緒さん

1975年生まれ。小学生のとき、訪れたデパートでスイーツの魅力に目覚める。大学卒業後、食品会社のマーケティングに携わる。2002年、テレビ東京の番組「TVチャンピオン」デパ地下選手権での優勝を機に、食の情報発信を本格化。退社後はフリーのフードコーディネーターとして活躍中。月に食べる菓子は100種類以上。和菓子店での勤務経験もあり、和、洋菓子全般に詳しい。著書に「アフター6のスイーツマニア」(マーブルトロン)。コミュニティーサイト「幸せのケーキ共和国」主宰。