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 国が2017年度内の待機児童ゼロを目指し、女性がさらに働きやすい社会をつくる方針を示してから約1年半が過ぎた。自治体による保育園整備は着実に進むが、企業の人手不足による求人増などを背景に保育園の利用希望者も増加。今年4月の全国の待機児童数は2万1371人と、4年連続で減少したが依然高水準だ。「入りやすくなった実感が持てない」。そんな働く母親たちの今を追った。

「門戸が広がると期待していたけど、認可保育園に預けるのはやはり難しいのかな」。千葉県船橋市の中島由紀さん(29)は複雑な思いで、市から申込書類を受け取った。

フルタイムが条件

昨年12月から産前休業に入り、今年2月に男の子を出産した。子どもが1歳になる来年2月か、一斉入所となる4月に職場復帰したい。出産直前には認可園が新設される地域に引っ越しを済ませ、家庭と仕事が両立しやすい園の選択肢を増やそうと考えた。すでに希望する5園の見学を済ませ、市の窓口にも入園選考の疑問点を相談している。

ネックとなるのは復帰後に予定する週3日勤務。「子どもが小さいうちは一緒にいる時間を極力増やしたい」が、やはり希望園は夫婦共にフルタイムで働いていることが最低要件のようだ。市からは保育士が家庭で子どもを預かる保育ママ制度を勧められたが、「来年始まる(子ども・子育て支援法に基づく)新制度で入園基準がどう変わるかは未発表なので、望みは持っていたい」と心揺れる。

勤務先の東京都内の社会保険労務士事務所は職員7人のうち3人が育児休業中。飯野正明所長は一番早く復帰する予定の中島さんにロールモデルになってほしいと願いつつ、「子育て中は急な欠勤はやむを得ない。フルタイムではなくでも3人が互いにカバーする仕事の進め方を考えたい」と話す。女性を多く雇用する企業が変わっても、保育園の制約で、女性の働き方は今もフルタイムか否か事実上の踏み絵を迫られている。

「待機児童ゼロ」を昨年発表した横浜市。2年連続はならず、今春は20人だった。数字上は小さいが、母親らは不安はぬぐいきれないでいる。

「2カ所に送り迎えすることになれば、職場復帰予定の来年3月以降、時間をどう組み立てればいいのか」。横浜市の柏木加絵さん(36)は5カ月になる息子が、4歳の娘と同じ園に入れるか気がかりだ。都内の職場まで約1時間。娘は当初現在の認可園に入れなかったので、自宅から徒歩15分の場所にある市の保育室に預けたが、機嫌が悪い日は帰宅まで1時間かかり時間が読めなかった。2人だとなおさらだ。

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