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安心・安全

進化する介護食 一見普通のおかず、食べると軟らか

2014/8/26

安心・安全

介護を受ける高齢者の食事を立て直し、元気を取り戻してもらおうという試みが広がっている。軟らかくして食べやすいように調理するのはもちろん、見た目も普通の食事と変わらないように工夫した。おいしく食べるには、かんだりのみ込んだりする力が欠かせない。口腔(こうくう)機能のリハビリも進化している。

「食堂のみなさんへ、ごはんがおいしいです」。千葉県松戸市にある特別養護老人ホーム「ひまわりの丘」の厨房には、こんな色紙が飾ってある。2013年1月に入所した関いね子さん(91)が書いた。要介護度4(要介護度は重い順に5~1)の関さん、入所してまもなく、ホームの食事に満足して毛筆ペンを手に取った。

家庭でもソフト食

関さんが食べるおかずは「ソフト食」。ホームが2年前に開発した介護食で、見た目は普通のおかずと変わらないが、軟らかく仕上げた。「食欲を刺激し、かむ力と唾液の分泌も促す。おかずは口中でのみ込みやすい塊(食塊)となり、スムーズに食道に送られる」。管理栄養士の富松浩美さんはこう話す。

ソフト食とはどのようなものなのか。8月中旬の昼食に出た厚揚げと豚肉、野菜のあんかけいため「家常(ジャーチン)豆腐」で見てみよう。豚肉は真空パックにし、大型の湯煎装置で3時間ほど、低温で煮込む。これにより豚肉の身は崩れず、より軟らかになる。厚揚げは豆腐に変え、野菜は包丁の入れ方を工夫し繊維を断つ。のみ込みやすくするためだ。

「湯煎装置がなくても、施設のソフト食に近い家常豆腐は自宅でできる」と富松さん。具体的なレシピを作ってもらった(左表参照)。

高齢者の介護食は一般に、おかずを食べやすい大きさに切って提供する「刻み食」、食材をゼラチンなどで冷やし固めた「ゼリー食」、料理そのものをミキサーにかける「ミキサー食」に分けられ、要介護度や口腔機能の強弱に合わせて出される。

この中で介護施設、在宅ともに刻み食が普及しているといわれる。刻んでいるとはいえ、食材そのものを味わえるからだ。日清オイリオグループが6月に実施した在宅介護者調査でも、細かく刻んだ食事を出す介護者が多かった。

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