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 野菜を育てようと市民農園を借りたものの、作物を枯らしてしまった。にわかファーマーにはこんな人が少なくないらしい。そこで、上級者の助言や備品のレンタルで利用者をサポートする市民農園が都市部で広がっている。企業が運営し、利用料金は自治体に比べ割高だが、ちゃんと収穫できるのが魅力。就農や販路開拓の講座を設けるケースもあり、就農者の予備校のようでもある。
イチゴの苗の植え付け方を説明するアドバイザーの松下公勇さん(左)と利用者ら(川崎市のシェア畑川崎多摩)

イチゴの苗の植え付け方を説明するアドバイザーの松下公勇さん(左)と利用者ら(川崎市のシェア畑川崎多摩)

「畑のハの字も知らなかったのに、今は1日いても飽きない」。小林毅彦さん(46)はそう笑顔を見せる。川崎市の住宅街にこの春開業した市民農園「シェア畑 川崎多摩」には、小林さんのような新人ファーマーが集まる。佐藤麻衣さん(38)はベランダ菜園を根腐れさせるくらいの腕前だったが、スコップを扱う足さばきも手慣れてきた。「カレーパーティーなど農園主催のイベントに出たり、友人とおそろいのつなぎを買ったり。すごく楽しい」

運営するのは農業ベンチャーのアグリメディア(東京・新宿)。2012年に貸農園を始め、現在は1都3県に26カ所、約2300区画を展開する。1区画は6~10平方メートルほど。利用契約は年単位で料金も立地で異なるが、川崎多摩の場合は10平方メートルで月あたり7500円からだ。

特徴的なのは料金に苗やタネ、肥料、農具や資材のレンタルなど、菜園に不可欠なものが含まれること。手ぶらで野菜栽培を始められる。先輩が利用者を指導してくれるのも好評。川崎多摩の松下公勇さん(61)は定年退職後にアドバイザーを始めた。農業歴は10年。「実際に手を動かしながら質問できるので技術がよく身につく」と利用者の馬場伸一さん(54)は話す。

農林水産省によると、13年3月末時点の市民農園数は全国に4092カ所(1363ヘクタール)。1992年度から20年で数が6倍、総面積は7倍近くに増えた。神奈川県の570カ所を筆頭に、東京都が500カ所、愛知県が335カ所など大都市圏に多い。市や区などが運営する農園が約6割を占めるが「自治体は財政が厳しく数は伸び悩み気味」(農水省都市農村交流課)。

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