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 労働力人口が減り、女性と高齢者の活躍が期待されている。だが、脚光を浴びる女性に比べてシニアへの関心はいまひとつ。そんな中で65歳を超えても働いてもらおうという企業がある。再雇用の上限を70歳まで引き上げたり、定年をなくしたりする動きも出ている。
若手社員に顧客サービスについて教える篠崎信一郎さん(大阪市のダイキン工業)

若手社員に顧客サービスについて教える篠崎信一郎さん(大阪市のダイキン工業)

「65歳になる少し前に本部長から続けてもらえないかと言われ、喜んで引き受けました。若い人とふれあうのは楽しいし、経験を伝えられるのはやりがいもある」。こう話すのはダイキン工業サービス本部シニアスキルスペシャリストの篠崎信一郎さん(67)だ。

経験、人脈は財産

1971年に入社。空調関連製品の研究に携わった後、86年にサービス部門に異動しエンジニアを束ねた。55歳の役職定年でサービス技術部長を離れ、後輩の教育を担当、フロン回収・破壊法の専門家としても活躍してきた。

ダイキン工業は60歳が定年だが、91年にはいち早く63歳までの再雇用制度を整備し、2001年には希望者全員を65歳まで再雇用する制度をつくった。さらに02年に「余人をもって代えがたい」人材は最長70歳まで働ける「シニアスキルスペシャリスト契約社員制度」を導入した。

ただし65歳以上の雇用はあくまで会社による選択。経験に裏打ちされたスキルやノウハウ、人脈を有する人に限られる。「コスト負担もあるし、若い社員の活性化も考えなければならない。会社にとってそこまでしても働いてもらいたい人という基準は譲れない」(今井達也人事本部部長)

開発部門で若手を指導したり、海外で現地社員に技能を伝えたり。地方都市での受注活動に欠かせない人もいる。現在135人の65歳以上のシニアが活躍中。週5日一日7.75時間のフル勤務で、年収は約500万円(公的年金含む)だ。

新潟県燕市で除雪機や芝刈り機を生産するフジイコーポレーションは、10年に65歳だった再雇用の上限を70歳に引き上げた。しかも希望者全員だ。「ベテランの経験や職人技は会社の大切な財産。微妙な擦り合わせが必要な場面で、大きな力を発揮する」。藤井大介社長は強調する。

神田勝弘さん(66)は、8月までプレス加工と鋼材事業の取締役事業長だった。9月からシニアアドバイザーとして後進の指導にあたる。「記憶力は少し衰えたが、まだ十分元気。先輩が150年守ってきた会社の伝統を次世代につなげたい」と言う。

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