広がるSNS、シニア「炎上」どう防ぐ

インターネット上の交流サイト(SNS)を通じて、人脈を広げるシニアが増えている。だが、不用意な発言をきっかけに爆発的に批判が集中する「炎上」も若者の世界に劣らず起きている。発生理由は「つい議論に熱くなって」などと、自分の主張を譲らないことが多いシニア特有の事情が浮かぶ。気をつけたいSNSとの付き合い方とは。

「おまえは歴史を知っているのか、などと批判が殺到した。もうフェイスブックはこりごり」。東京都内に住む大高進さん(仮名、65)は今夏、SNSのフェイスブック上で起きた炎上を振り返る。大高さんはネットの掲示板で一時、実名もさらされた。

つい熱くなって

シニアの初心者にフェイスブックを教える牧壮さん(左から2番目、東京・千代田の砂防会館)

定年退職後、5年間の嘱託勤務を終えて今年2月に完全リタイアした大高さん。趣味の競馬で友達を作ろうと、さっそく入門書を読んでフェイスブックを始めた。大好きなサラブレッドの写真やレースの予想を投稿するうちに同好の士が増え、知り合った若者や同世代と競馬場に集まるようになった。

8月のある日の朝、歴史問題についての議論に関連して「自分の歴史観を投稿したところ、若者から絵文字付きで反論が来た。絵文字は失礼だと説教したら、今度は『本質的な議論をしろ』とのシニアからの批判が止まらなくなった。友達の友達と称する知らない人からも罵声を浴びた」。大高さんは、かっとなった当時の自分を反省する。

「SNSで政治問題を熱く議論するのはシニア、特に男性シニアならではの傾向」。公益財団法人ダイヤ高齢社会研究財団(東京・新宿)の主任研究員でシニアのライフスタイルに詳しい沢岡詩野さんは指摘する。定年後、行動範囲が狭まり友達が減る人もいる。自分を認めてもらいたい、自分の考えを誇示したいという欲求が根底にある。それが相手の顔が見えない仮想現実の世界で、感情をコントロールできず爆発するわけだ。

スポーツ選手のブログ執筆を指導するスポーツメディアトレーナーの片上千恵さんは、「ネットで自分の思想信条を表明するのは悪くない。ただ相手を中傷してはダメ。炎上したら家族にも被害が及ぶこともある」と警告する。無料対話アプリのLINE、短文サイトのツイッターも同様。投稿は世界中に発信されることをシニアにも分かってほしいと付け加える。

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