職場の性的マイノリティー施策 日本企業にも広がる福利厚生に反映

職場のダイバーシティー(多様性)で大切なのは女性や障害者だけではない。心と体の性が一致しなかったり、同性を好きになったりといった、性的マイノリティー(LGBT)の人への配慮も今は欠かせない。海外企業が先行していたが、日本企業で対応に乗り出すところも広がり始めた。

ドイツ銀行グループのドイツ証券(東京・千代田)で部長職を務める柳沢正和さん(37)が、職場で同性愛者であることをカミングアウト(公表)したのは3年ほど前のことだ。きっかけは、同性パートナーとの同居が社宅の利用条件に合わないと、不動産会社に指摘されたこと。人事部に相談したところ家族扱いを認められたという。

昨年11月、大阪ガス本社で開かれたLGBT施策に関する社員向けセミナー(大阪市)

職場では同僚を互いの家に招きあうことが多く、そのたびに「彼女は不在」とウソをつかなければならないといったことも「つらかった」。

カミングアウトについて「日本ではまだ早いのでは」と心配する人もいたが、「ほとんどの人はサポートしてくれた」という。

会社も変わり始めた。柳沢さんは「DBプライド」という同グループのLGBT当事者のネットワークを日本でも発足させた。当事者やその上司らが悩みを相談できる窓口を作り、社内に告知。LGBTに関する様々な相談が寄せられるようになった。

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さらに同グループでは、福利厚生で同性パートナーも家族と同じ扱いをする制度改正を議論中。数カ月以内に結論が出そうという。「会社への思いが強まった」と柳沢さん。

職場のLGBT施策は欧米の企業が進んでいる。2001年にオランダが世界で初めて同性婚を合法化するなど、特に欧州で人権問題として対策が整備された。米国でもオバマ大統領が熱心で7月、米連邦政府と契約する企業に同性愛者への差別を禁止する大統領令に署名。任天堂が米国で販売したゲームソフトが同性婚ができない設定だったことを謝罪するなど、職場だけでなく、製品でも配慮することが求められている。

半面、日本では外資系企業が先行する一方で、日本企業はソニーや富士通など世界展開する一部が対応していた程度。ようやくここに来て、それ以外の日本の会社にも対応する動きが出てきた。

▼LGBT 性的マイノリティーを示す言葉の頭文字からとった、そうした人たちの総称。L、Gはレズビアン、ゲイという同性愛者、Bはバイセクシュアルで両性愛者。Tはトランスジェンダーで、体の性と心の性が一致しない人を指す。
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