「うちのように時差のある会議に出る機会が多い部署では裁量労働制のような柔軟な働き方ができる方が成果が上げやすいし、健康も維持しやすい」(アプライド・ソリューション事業本部の西川幸子管理担当課長)

ただ時間ではなく成果で賃金が支払われる仕組みは労働時間管理のタガが外れ、残業代ゼロで働かされるのではと懸念する声もある。EU諸国では勤務終了から翌日の勤務開始までに一定の休息時間の確保を義務付ける「勤務間インターバル規制」という共通した労働基準があるが、日本の法制にはない。

現状では1日に8時間、週40時間を超えて働かせてはならないとする労働時間の限度はあるが労使合意に基づく届け出があればこれを超えてもいい。人事マネジメントに詳しい大和総研の広川明子主任コンサルタントは「日本でも今後はインターバル規制のようなものを検討しなければならない」と強調する。

そこで、個々の社員が“自分インターバル”を確保しながら柔軟に働ける仕組みを導入する企業も出てきた。テンプスタッフでは前日に遅くまで働いた社員が翌日の始業時刻をずらして働ける。

通常の勤務時間は午前9時から午後6時までだが、始業時刻は「午前10時」「午前11時」「正午」「午後1時」の中からも選べる。上司に前日までに口頭で言えば、選んだ始業時刻から8時間働けばいい。

顧客企業などから午後6時をすぎてからも問い合わせや依頼があるが、「顧客対応も他社との競争なので手を抜くことはできない。社員の健康面も考えて、勤務時間をずらして社員の休息を確保できるようにした」(人事部の細田鋼司部長)という。

人材確保に直結

働いた時間ではなく、仕事の成果で給料を支払う「ホワイトカラー・エグゼンプション」の導入が政府の成長戦略に盛り込まれた。労働時間の規制を取り払い成果に応じて報酬を決める仕組みで、早ければ2016年度から導入される。対象となる人が限定されているものの、働き方に対する考え方が大きく転換するのは間違いない。

特定社会保険労務士で、企業の人事マネジメントに詳しいヒューマンテック経営研究所(東京・中央)の藤原伸吾所長は「裁量労働制の対象を広げるなど柔軟な働き方ができるように職場環境を整えることが優秀な人材の確保にもつながる」と指摘している。(編集委員 阿部奈美)

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