トイレは聖域? 掃除する身になってみたら

女と男はなぜ違う。職場で、家庭で、日々繰り返されるこまごまとしたすれ違いをテーマに、読者の皆さんも一緒に語り合いましょう。今週のお題は「トイレ」です。

座ってしなさい

アラフォー既婚

保育園に通う2人の息子は毎朝、家を出る前にトイレに駆け込む。のぞくと、ちょこんと便座に腰掛けて用を足している。よしよし。言いつけを守り、ちゃんと座っておしっこをしているわ。

日本の家から男性用小便器が消え、洋便器しかないケースが大半になった。立たせるか座らせるか。迷うところだけれど、掃除をする立場から言えば、立ってするのは洋便器に向かない。壁や便器の縁に飛び散るからだ。

夫は、座れば男のこけんに関わると思っているのか、立ちスタイルを貫いている。40歳を過ぎた夫に何を言っても無理。でも今後の人生、3人の男が汚したトイレ掃除の手間を考えるだけで、絶望的な気持ちになる。息子たちは座ってさせようと決めた。

「お掃除が大変だから、家ではおしっこは座ってしようね」。刷り込んだ結果、息子たちは素直に従っている。なのに夫は立ってするよう教えているらしい。息子の告げ口で発覚したが、とんでもないことだ。

息子は最近、ウンチの後に消臭剤を使うことも覚えた。自分のだけではない。夫がした後も「くさいからシューするよ」と消臭剤をまく。ぼうぜんとする夫を見て「勝った」と思うのは意地悪かしら。

男たるもの……

バブル世代既婚

先日、独身の友人宅に招かれた時のことだ。トイレを借りようと席を立ったら「悪いけど座ってやってくれないか」ときた。おいおい、お前も男だろう。そんな言葉をじっとこらえ、にっこりしながら「了解」と応じたが、釈然としない思いが残った。

小便を座ってする男性が増えているらしい。飲み会の席で聞くと、座る派が自分より若い世代はもちろん、同世代や先輩にも少なからずいる。「結婚後、妻に言われて」というパターンが目立つ。

イラスト 松川 久美

立って用を足すと便器の縁や周囲の床などが汚れる。だから女性が「座ってやって」と注文するのは分かる。でも男は幼いころから立ってするものと教えられ、すっかり身に付いている。男の尊厳と言ってもいい。ズボンをいちいち下ろすのも面倒だ。

自分を解放できる数少ない場所の1つがトイレ。それなのに用を足した後、消臭剤を振りまく家もあるとか。高級レストランじゃないんだから、そんなことまでさせられたら、息が詰まってしまうよ。

いまのところ妻は僕に「座って」とは言わない。その代わり「あなた、トイレ掃除はお願いね」。ささやかな男の尊厳を保つには、それなりの代償が伴うということか。男はつらいな……。