変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

会員登録をすると、編集者が厳選した記事やセミナー案内などをメルマガでお届けしますNIKKEIリスキリング会員登録最新情報をチェック

 「同僚に迷惑がかかる」「後で忙しくなるから」……。せっかくの有給休暇もこんな理由で取得しない人が多い。だが、いい仕事は十分な休養がとれてこそ。政府の審議会では取得促進を企業に義務付けようとの議論も進む。100%近い取得率を誇る企業に秘訣を聞いた。
有休100%消化を目指し、さまざまな取り組みをするscsk(東京・豊洲)

有休100%消化を目指し、さまざまな取り組みをするscsk(東京・豊洲)

「来週の○曜日に有給休暇を取りたいんですが」。部下からこんな申し出があったら、管理職はどう答えているだろうか。「以前は『なぜ』と理由をきく上司が多かったのですが、今は『次はいつ休むの?』に変わりました」。こう話すのは情報・通信業、SCSK人事グループの今井崇敬労務課長だ。

得意先にも説明

同社は2011年10月に住商情報システムとCSKが経営統合して誕生した。中井戸信英社長(現会長兼CEO)が掲げたのが働き方改革だ。社員の8割はシステムエンジニア。「人がすべての業界で社員が多忙を極めている。リフレッシュしなければ創造的な仕事ができるはずがない」

残業半減運動などに続き取り組んだのが有給休暇の取得促進だ。取得率はそれまで66%程度。12年度はまず90%を目指し、13年度からは有休取得日数20日、残業月20時間以下を目標に定めた。

第一に取り組んだのが役員の休暇促進だ。本部長以上約50人の役員の休み管理台帳をつくり、休暇予定を提出してもらった。休暇の少ない役員には社長から指導が入る。「役員が休めば部課長も休み、一般社員も休みやすくなる」(今井課長)

年数日、全社休業日を設定。顧客先で働く社員のためには部門長が相手企業の社長に手紙で理解を求めた。年20日の休暇のうち3日間は1時間単位で取得できるようにした。休暇予定が一目でわかるカレンダーなども配布。多くの職場では年度初めに全員が休暇予定を申告する。

極め付きは賞与加算。残業削減と有休取得の実績をあげた部門には、報奨金が上乗せされる。12年度に78.4%だった取得率は13年度は95.3%にあがった。「成功の秘訣はトップの強いメッセージと、継続のためのインセンティブ」(今井課長)

新着記事

Follow Us
日経転職版日経ビジネススクールOFFICE PASSexcedo日経TEST

会員登録をすると、編集者が厳選した記事やセミナー案内などをメルマガでお届けしますNIKKEIリスキリング会員登録最新情報をチェック