2014/9/13

日本の歩き方

「セルフあぶり」を試す

「城西館」のわら焼きタタキは塩とワサビで楽しむのがお薦めだ

絶妙な焼き加減を堪能するうち、自分でもわら焼きを試したくなった。高知市中心部から車で1時間弱。中土佐町の「黒潮工房」に着いた。同町は映画にもなった漫画「土佐の一本釣り」の舞台で、工房は土佐湾を一望できる場所にある。

運営する公社の社長で、同町の町長でもある池田洋光さんが出迎えてくれた。調理師免許を持っており、自らわら焼き用のカツオをさばいてくれることになった。

調理師免許を持つ池田洋光町長がカツオを手際よくさばいていく(高知県中土佐町の「黒潮工房」)

まな板の上に載った1匹のカツオに、池田さんが手際よく包丁を入れていく。5分ほどでわら焼き用の節が4本できあがった。これを工房の窯であぶるのだ。

わら焼きには「さや」と呼ぶ道具を使う。1メートルほどの長さがある木製の柄の先にステンレス製のすき状のものを付けてあり、そこに先ほどの節を4本載せる。記者は格闘技の経験があり、力には自信があるが、しっかり持っていないとふらついてしまう。わらに火が付くと一気に1メートルを超す高さの火柱が上がった。あぶっているのは1~2分程度だが、重さと暑さで汗が出てくる。

あぶり終わったカツオを焼き切りの状態で出してくれた。タマネギが下に敷いてあり、細ネギがかかっている。タレはゆず味とゆずの入っていないタレの2種類。池田さんのオススメは「2種のタレをお好みで調合する」だ。

わら焼きを体験する観光客。「さや」という道具を使う(高知県中土佐町の「黒潮工房」)

中土佐町と共にカツオ漁で有名な黒潮町でもわら焼き体験ができる。「カツオふれあいセンター黒潮一番館」では、あぶり終えたタタキを薬味のネギを乗せた状態で出してくれる。最初は何もつけずに塩タタキで。次にしょうゆとみりんベースの甘みのあるタレをつけて楽しむ。締めはあつあつのごはんの上に2~3切れ乗せてタレとお湯をかける「湯かけ」だ。

店を取り仕切る境文子さんは「うちは地元の漁師経験者やおかみさんばかりでやっているので、他では味わえない食べ方で提供しています」と話す。

謎につつまれた起源

高知県民のソウルフードともいえるカツオのタタキ。実は起源がはっきりしない。「戦国大名の長宗我部元親が四国平定の途中、安芸の浜でたくさんカツオが捕れたので焼いた」「土佐藩主が魚の生食を禁じたため、表面を焼いて食べた」など様々な伝承がある。中には明治に入って鯨肉をステーキのようにあぶって食べているのをカツオに応用した、との説まである。

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