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五輪「大動脈」間に合うか 築地移転決まっても綱渡り 跡地に3000台の仮設駐車場、環2は段階的に開通

2017/6/30 日本経済新聞 夕刊・朝刊

築地市場の移転時期が焦点となる(東京都中央区)

 東京都の小池百合子知事が築地市場の移転を決断したことで、2020年東京五輪・パラリンピックの選手・関係者を輸送する大動脈作りが再起動する。築地跡地に車両3000台を収容できる仮設駐車場などをつくるとともに、幹線道路「環状2号(環2)」を段階的に開通させる。もっとも築地市場の建物解体には約1年半、更地にして駐車場などに整備するには約1年かかる見通し。大会の開幕は3年後に迫っており、綱渡りのスケジュールとなる。

 

 五輪・パラリンピックの選手・関係者の輸送拠点となる「デポ」は、築地跡地を通る「環2」の北東に整備する。約23ヘクタールある築地跡地のうち十数ヘクタールを活用。五輪前に築地の地上部に開通する環2から出入りできるようにする。現在築地市場にある一部の立体駐車場も使い、大会期間中に使う輸送車両6000台のうち、バス1000台、乗用車2000台の拠点にする。残り3000台分の駐車場は都内数カ所で確保する。

 デポには駐車場のほか、給油所や洗車場、運転手が利用する食堂や休憩所を整備する。車両の燃料施設や洗車場の設置も検討する。テロ対策として、車両や運転手の入場チェックや拠点内の監視もする。

 築地は晴海の選手村に近いうえ、新国立競技場(新宿区)など競技会場への動線上にあり、輸送拠点の立地として優れている。都と組織委は築地市場の跡地を五輪の仮設駐車場として使う方針だったが、小池知事が築地市場の移転を延期したため計画が停滞していた。

 築地に駐車場を整備できなければ、3000台分の代替地を確保する必要があったが、都内に適地は少ない。駐車場を都内に分散配置すれば、大会中に都内各所で渋滞が発生し、経済活動や市民生活に悪影響が出る懸念もあった。小池知事が6月20日に豊洲市場への移転と築地跡地の五輪での活用方針を表明したことで、輸送拠点の整備環境が整った。

 もっとも20年夏の東京五輪・パラリンピックに間に合わせるのは簡単ではない。築地市場の解体とデポの整備に単純合算の約2年半かかるとすると、17年末にも市場を移転する必要がある。一方で小池知事は6月21日の日本経済新聞のインタビューで、市場移転時期は18年5月を目指す方針を表明した。都は解体工事と並行して駐車場整備などを進めて、工期を短縮する考えだ。

 ただ築地市場の移転が、小池知事の思惑通りに進むとは限らない。市場の幹部からは「18年5月では準備が間に合わない」と難色を示す声が早くも上がっており、協議の行方によっては移転時期がずれ込む可能性がある。

 市場の移転時期は、五輪・パラリンピック期間中に選手らの輸送の要となる環2の整備スケジュールにも影響する。小池知事はすでに築地跡地の地下を通すトンネルの大会前完成を断念。地上部道路のみを先行開通させ、大会での輸送に使う方針だ。その地上部道路の整備は19年春までの市場移転が前提で、移転時期が遅れれば環2を使う輸送計画全体に狂いが生じて、大会の運営に支障が出る恐れがある。

 そもそも環2の地上部道路は片側1車線しかなく、片側2車線で虎ノ門方面と直結する地下トンネルに比べると交通処理量で大きく見劣りする。予定通り地上部が先行開通できたとしても交通渋滞の懸念がつきまとう。大会期間中は一般車両の通行量をコントロールする交通需要マネジメント(TDM)などソフト面の対策が不可欠とみられる。

 五輪・パラリンピックの輸送体制の整備は時間との戦いで、市場の移転時期を巡る今後の協議がカギとなる。小池知事のかじ取りが問われる。

[日本経済新聞夕刊2017年6月27日付と同朝刊28日付を再構成]

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