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オリパラで「バス」も電気に さいたまと池袋で新路線 競技会場への移動、観光客の周遊に活用

2017/5/27 日本経済新聞 朝刊

さいたま市が計画するEVバスは、JRさいたま新都心駅と埼玉高速鉄道・浦和美園駅間を結ぶ(写真は東京五輪でサッカー会場となる「埼玉スタジアム」)

 2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて、電気自動車バス(EVバス)を導入する計画が相次いでいる。さいたま市は競技会場のあるさいたま新都心と浦和美園間を直接結ぶ拠点間輸送システムを構築する方針を固めた。東京都豊島区は繁華街の池袋エリアを回遊させ、地理に不慣れな観光客を呼び込む考えだ。

 さいたま市の拠点間輸送システムは、国が省資源化などによる街づくりを支援する「次世代自動車・スマートエネルギー特区事業」の一環として整備する。運行に当たり民間事業者を募り、国の補助金も活用してEVバスの製作などを補助する。18年度には工事や路線バスの認定申請を進め、19年中に試験運行する。

 詳細なコースは今後検討するが、五輪のバスケットボール会場となる「さいたまスーパーアリーナ」に近いJRさいたま新都心駅と、埼玉高速鉄道・浦和美園駅間を15~20分で結び、大宮駅やサッカー会場となる「埼玉スタジアム」まで延ばすことも想定する。首都高速埼玉新都心線や新見沼大橋有料道路を利用し、バスを優先して信号機を制御する公共車両優先システム(PTPS)も導入。停留所は最小限にとどめ、ほぼ直行させる方針だ。

 浦和美園地区は、埼玉高速鉄道で東京都心への鉄道の交通利便性は比較的高いが、大宮・さいたま新都心方面へ行くには乗り換えが2回必要で利便性が低い。埼スタも浦和美園駅から徒歩約20分かかり、アクセス向上を求める声が根強い。埼スタを本拠地とする浦和レッズの担当者は「大宮・さいたま新都心だけでなく、(公共交通機関で)県北から来場する人にも便利になる」と歓迎する。

 五輪後は災害時にも役立つ市民の足として活用する。EVバスの大容量電池は避難所やバス営業所の電源として活用できる。さいたま新都心は国の出先機関が集まり、災害時の首都機能のバックアップ拠点として期待されていることも考慮した。埼玉高速鉄道は東日本大震災当日に運転を再開するなど、地震に強い鉄道とされ、EVバスと組み合わせ都内への移動手段を確保しやすくする。

 さいたま市は両地域を結ぶ交通手段について、LRT(次世代路面電車)の整備も検討してきた。市環境未来都市推進課は「LRTは沿線のまちづくりも含め検討するもので、今回は今ある街と街を最短でつなぐ手段として別に整備する」と説明。「街の機能をつなぐ交通を五輪レガシーとして残す」としている。

豊島区は池袋エリアで19年にもEVバスの運行を始める(写真は4月末の試乗会で使用した車種)

 一方、東京・池袋エリアでのEVバス運行をめざす豊島区は4月末にJR池袋駅東口周辺などで試乗会を開いた。結果を踏まえて17年度中に実施計画を策定し、東京五輪・パラリンピックの開催前年となる19年度の運行開始を目指す。

 試乗会で使用したのはEV製造・販売のシンクトゥギャザー(群馬県桐生市)が開発したEVバス。10人乗りで、最高時速は19キロ。窓ガラスがなく、景色を楽しみやすい。家庭用の電源で充電でき、1回の充電で40キロメートル走行する。装着した太陽光パネルで発電して充電もでき、走行距離を最大10キロメートル延ばせる。高齢者でも乗り降りしやすいように床も低くなっている。

 池袋エリアは、東京芸術劇場をはじめ劇場や映画館が多く集まっている。近年は漫画やアニメといったサブカルチャー関連の企業や店舗も集積。豊島区は池袋を文化・芸術の発信拠点として、観光客をさらに呼び込みたい考えだ。交通への影響や需要などを確かめ、将来目指しているLRTの導入を検討するうえでの判断材料にもする。

[日本経済新聞朝刊2017年4月27日付と28日付を再構成]

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