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東北・フルーツ王国 驚きの甘さ育む昼夜の温度差 東北果物紀行

2014/9/1

まだまだ残暑が続くこの時期、ジューシーでさわやかな甘さの果物はいかがだろう。夏から秋にかけての東北は、さながらフルーツ王国だ。訪ねてみれば、至る所で豊富な種類の果物に出合うことができるだろう。
農家が運び込んだスイカがコンベヤーで次々と流れてくる(山形県尾花沢市の東部すいか選果施設)

■甘さの秘密は盆地の温度差

尾花沢すいかは山形県尾花沢市と隣の村山市、大石田町の2市1町で栽培される産地ブランド。東京や関西方面にまでその名は知れ渡る。「尾花沢の場所はわからないけどスイカは有名だねとよく言われる」と苦笑するのはJAみちのく村山の大類寿和・営農経済部長。

夏場は東部選果施設で1日4万3000個、大石田町の西部選果施設では3万5000個が出荷される。県内産の9割強を占め、出荷量は年間100万ケース(1ケースは大玉2個)を超える。熊本や千葉県産は夏前に出荷が終わり、夏本番に出回るスイカの産地では「尾花沢」が最も多いという。

自動運搬機の登場でスイカの収穫が楽になった(山形県尾花沢市)

なぜ、人気が高いのか。答えは糖度が11度以上と甘くてシャリシャリとした食感があるからだ。夏の尾花沢は盆地ゆえに日中と夜間の温度差が大きく、それが甘みを増す。雪のため冬の間、農地を休ませることも上質な土壌を生む要因だ。

尾花沢は県内でも有数の豪雪地帯のため、他の果物は雪の重さで樹木が折れてしまい栽培に適さない。唯一残ったのが土の上で育てるスイカだ。いわば苦肉の策だったわけだが、それが今では地域を代表する農作物に育った。

ブランドが定着したのは1980年代初め。道路網の発達で短時間に首都圏方面へ運べるようになったことが背景だ。2002年に選果施設が稼働したことも大きかった。

施設では検査装置で自動的に形状や空洞の有無、糖度などを計測できる。糖度が11度未満のスイカは規格外として出荷せず加工用に回す。この結果、糖度のバラつきがなくなり作業効率は飛躍的に高まり、作付面積も大幅に増えた。

かつては重いスイカを持ち上げるだけでも一苦労。1日に出荷できる量は1人50個程度だったが、選果施設の登場で一気に300個まで増えた。同JAすいか生産部会長の鎌田政光さんは「重労働から解放され後継者も増えた」と顔をほころばす。

畑での機械化も進む。今ではスイカ農家の大半が小型の自動運搬機を使う。それを使って収穫作業をしていた大山清治さんは「昔は麻袋に入れて担いだのできつかった。運搬機を導入して随分楽になった」と話す。こうした技術革新も今日の隆盛を支えている。

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