オリパラ

インバウンド最前線

バス旅行も欧米流! 「シートインコーチ」で日本縦断 全国の観光バス事業者が連携、乗り継ぎ可能に

2017/7/10 日本経済新聞 朝刊

9社の観光バス事業者が連携する(写真は鹿児島県を本拠とする南薩観光のバス)

 全国の観光バス事業者が連携し、訪日外国人が全国を縦断できるバスツアーを企画する。観光で使われる貸し切りバスは事業者ごとに営業地域が定められているため、従来は旅行の範囲が限られていた。複数の事業者のバスを乗り継ぐことで、北海道から九州まで回れるようにする。欧米などでは「シートインコーチ」として普及しているスタイルで、日本にも広がる可能性がある。

 南薩観光(鹿児島県)や琴平バス(香川県)、神姫バスグループ(兵庫県)、関東自動車(栃木県)、岩手県北自動車(岩手県)などの9社で事業連合「ジャパンコーストラインアライアンス」を立ち上げた。9社は旅行会社を持っており、共同で中継地点や乗り継ぎ方法を詰める。参加企業は年内に15社ほどに増える予定だ。

 第1弾として今夏にも鹿児島県を営業エリアとする南薩観光と宮崎県を営業エリアとする宮崎交通が組み、九州一円や南九州を巡るツアーを英語圏の訪日客向けに発売する。九州一円を巡る商品は7泊8日で10万~15万円を想定。2泊3日で途中下車できるなど複数の商品を用意、個人客のニーズに対応する。

 神姫バスグループも数社と組み来春に広域ツアーを売り出す予定。現在販売している訪日客ツアーの2016年度の利用者は2万2千人と前年度比4割増えたが、京都や奈良、大阪や神戸を巡る日帰りに限られる。同社の担当者は「全国の事業者との連携で商品の幅が広がる」と期待する。

 観光バスとして利用される貸し切りバスはバス会社ごとに営業区域制限があり、利用客はバス会社の営業所があるエリアを出発地か到着地にする必要がある。従来は途中下車が難しく、決められたコースでの利用が多かった。

 各社のバスを乗り継げれば、南薩観光などの商品で九州を観光した後、下車してフェリーなどで四国に渡り、琴平バスに乗り換え、さらに関西で神姫バスに引き継ぐといったプランが可能になる。最長で鹿児島から北海道まで旅行するプランを作ることを目指す。地元に詳しいバス事業者のガイドが対応することで、きめ細かいサービスも提供できる。

 今回の連携は16年11月、琴平バスと南薩観光が観光客誘致などで提携したのが契機となった。西日本で乗り継ぎを利用するアイデアが浮上し、その後、関東、北海道のバス事業者も巻き込み、JR各社の新幹線では味わえない広域観光を目指す動きに広がった。

 20年の東京五輪・パラリンピックに向けて、日本を訪れる外国人旅行客は一段と増えることが予想されている。リピーターが増えるにしたがって、東京や大阪、京都が中心だった観光ルートも地方に広がっている。16年の地方の外国人延べ宿泊者数は前年比13%増(2845万人泊)と、伸び率で三大都市圏の5%(4243万人泊)を上回った。

シートインコーチ(Seat in Coach)
 欧州などで普及している乗合型の観光バスツアー。途中下車が可能で、日程やコースを変更できない団体旅行などに比べ自由度が高い。国内ではJTBグループが導入している。国土交通省の臨時措置により訪日外国人客向けに限り、貸し切りバスの営業区域が拡大したが、区域外での乗降はできない。複数のバスを利用することで、広域での乗降が可能になる。

[日本経済新聞夕刊2017年6月13日付、同朝刊14日付を再構成]

オリパラ新着記事

ALL CHANNEL