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サラリーマンに優しい迷宮・新橋 安さ支える意外な秘密 「当世」東海道繁盛記(3)

2014/11/17

ナポリタンやオムライスが人気の「むさしや」

銀座とは隣り合わせの新橋だが、印象はがらりと異なる。高級感あふれる銀座に対し、等身大のサラリーマンが集う新橋。個性的で小さな店がビルや路地裏にひしめき、知っている人だけが行き着ける――。そんな奥深さが大人を引き付ける。

飲むなら新橋

新橋のシンボルといえば、鉄道開業100年を記念して1972年に設置された「C11型蒸気機関車」が鎮座する駅前のSL広場だ。テレビが「オヤジの声」を拾うときは、なぜかここが選ばれる。

「ベロベロになって出てきたら呼び止められたよ」――。住宅設備メーカー勤務の神山直之さんが街頭インタビューを受けたのは、40代の働き盛りだった10年ほど前だ。霞が関の会社から神奈川県の自宅に帰る神山さんにとって、新橋は乗換駅。銀座や赤坂より手ごろな店が多く「飲むなら新橋」は今も変わらない。

ニュー新橋ビルは新橋のランドマーク

金曜日の夜になると、取引先と打ち合わせを兼ねて新橋で飲むのが通例だった。会社の経営統合に伴ってなじみの仕事相手に涙ながらに取引中止を説明したおでん店。今ではその相手と友人として会える特別な場所になっている。そんな愛すべき店が新橋にはいくつもあるのだという。

江戸中心街の南端に架けられた橋が地名の由来である新橋。日本の鉄道発祥の地でもある都心交通の要衝だ。沿線にオフィス街の多い東京メトロ銀座線と神奈川・千葉の2方面に向かうJR各線が交差する。

広場に隣接する地上11階建てのニュー新橋ビルは、新橋の街をそのまま一つの建物にしたような存在だ。3階までの側面に白い格子をかけたような外観が特徴で、サラリーマンがお得意様の店が軒を連ねる。

駆け込み寺

ジュース店「ベジタリアン」には一風変わったメニューもある(中央は店主の菊地順子さん)

ビルに入ると「洋服の青山 新橋烏森口店」がある。紳士服最大手の青山商事が経営する500平方メートルの小型店だが、シャツの売り上げは同社の全800店で第2位だ。

平日夕方の店内はスーツ姿の男性でいっぱい。宮崎聡一店長によると、出張で都内に来たサラリーマンが多いという。「これから顧客に会うのに食べこぼしで汚れた」「出張が長引いて足りなくなった」――。こんなピンチに応えるべく、同社の平均的な店の2倍の7000点のシャツをそろえる。

スーツも2着買うと割り引く場合が多い通常店と違い、1着から安くする。急に必要になって1着だけでも安くしてほしいという要望も多いという。

「駆け込み寺」は他にもある。ビル1階のジュース店「ベジタリアン」。店主の菊地順子さんは40年以上前から二日酔いや胸焼けに苦しむサラリーマンに「健康ジュース」を提供してきた。メニューをみると一般的なフルーツや野菜だけでなくアロエやウコン、ケール、ヤーコン、キクイモなど一風変わったものも多い。

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