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民泊参入の国内勢、エアビーに勝るのは「顧客基盤」 楽天×ホームズ、登録物件の活用働きかけ

2017/6/28 日本経済新聞 朝刊

 住宅に旅行者を有料で泊める民泊を全国に解禁する法律が成立したことで、企業が続々と民泊事業に参入している。楽天が仲介事業に乗り出すと発表したほか、KDDI子会社は物件の募集を始めた。2020年の東京五輪・パラリンピックなど大型イベントの開催を控えホテル不足が懸念される中、他国より遅れているシェアビジネスの拡大が見込めると判断。先行する米エアビーアンドビーを追いかける。

 6月9日に住宅宿泊事業法(民泊法)が成立し、早ければ2018年1月にも施行される。家主に都道府県への届け出を、仲介業者に観光庁への登録を義務付け、誰でも民泊を営めるようにする。一部特区と旅館業法の範囲内で認められてきた日本の民泊は、エアビーの独壇場となっていた。

 法施行後にサービスを始める新規組の強みはすでに顧客基盤を保有している点だ。

 楽天は不動産住宅情報サイト「ホームズ」を運営するLIFULLと組み、民泊の仲介事業を始める。ホームズなどのデータベースに登録する物件もオーナーの許可を得て、民泊向けに使えるようにしたい考えだ。

 すでに両社でサービスを運営する共同出資会社を設立している。世界9千万人の楽天会員に利用を呼びかけるほか、パートナー企業と組んで海外の利用者も新たに開拓する。登録物件の運用支援にも乗り出す計画で、ネットで草の根の資金を集めるクラウドファンディングでリノベーション(大規模な改修)する構想も持つ。

 KDDI傘下のロコパートナーズ(東京・港)は運営する高級ホテルや旅館の宿泊サイト「Relux(リラックス)」で民泊物件の取り扱いを始める。リラックスは2人で1泊8万円程度の高級ホテルや旅館を中心に掲載し、訪日外国人が15%を占める。民泊物件でも1泊1万円以上の比較的高級な物件を扱う。

 レオパレス21も民泊事業への参入を検討している。玄関ドアの鍵をスマートフォン(スマホ)で開け閉めできる「Leo Lock(レオロック)」を開発。今後完成する不動産物件に標準設置していく予定だ。鍵の受け渡しが必要ない効率化技術は、民泊拡大を後押しするとみている。

 同社の物件は英語、韓国語、中国語などに対応する外国人入居者向けのコールセンターもあり、こうしたサービスの活用も検討する。

 観光客の増加でホテルの予約がとりにくくなったり、空き家が増えたりしている現状では、民泊は貴重な受け皿となる。データ解析などを手掛けるメタップスの調査によると、民泊市場は20年に2千億円と17年予測の2.4倍に広がる見通し。現在の利用者は9割以上が外国人で、日本人利用の拡大余地は大きい。国内産業の成長をけん引する意味でも、シェアビジネスへ期待がかかる。

 民泊世界最大手として日本でも先行してきたのがエアビーだ。国内5万2千件の登録がある。中国の民泊大手の途家(トゥージア)もすでに日本法人を設立、中国人観光客向けに中国語で日本の物件紹介を始めている。

 騒音やごみ処理など周辺住民の暮らしを守るルールの整備のほか、民泊市場の本格的な拡大にはさらなる規制緩和が必要との声がある。

 民泊法には年間営業日数の上限180日といったルールがあり、新規参入しても利益を確保しにくいとする向きは多い。楽天と提携したLIFULLの井上高志社長は民泊法の規定について「今後さらにインバウンド(訪日外国人)が増えれば再検討するタイミングがあると期待している」と述べた。

[日本経済新聞朝刊2017年6月23日付]

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