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「スポーツは形から」 ABCマート、間口広げて攻勢 野口実社長「アスレジャー専門店、20年までに50カ所」

2017/9/12 日本経済新聞 朝刊

 若者のスニーカー需要を取り込んで成長してきた靴専門大手のエービーシー・マート(ABCマート)。2020年の東京五輪・パラリンピックをにらんで新たな成長のけん引役に据えるのが、米国で普段着として定着するスポーツ用品「アスレジャー」だ。17年9月からは専門店の出店も始める。スポーツと街着の融合である同分野をどう育てていくのか。野口実社長に聞いた。

「アスレジャーを文化にしたい」と語るABCマートの野口実社長
ABCマートがアスレジャーとして提案するウエアやシューズ

 ――アスレジャーは日本で根付きますか。

 「米国では野球やバスケットボールなどの観戦の際にアスレジャーを身につけるのが浸透している。日本でも少しずつ広がっており、米国同様、文化に育てたい」

 「アパレル不況といわれるが、ファッションのカジュアル化により金額ベースの市場が伸び悩んでいる。カジュアルな製品は機能性やデザインが向上している。その需要を取りにいく」

 ――米国と異なり、日本はアスレジャー専門店が多くありません。

 「17年9月から、アスレジャーを専門に手がける新業態『ABCマートスポーツ』を始める。2020年までに50店を出す」

(注)1号店は9月28日、神奈川県平塚市の「ららぽーと湘南平塚」に開く。10月5日に千葉県船橋市の「同TOKYO-BAY」と東京都江東区の「同豊洲」、7日には福岡市の「キャナルシティ博多」も加わる。

 「ナイキやアディダスなどのスニーカーとウエアに絞り、通常の店舗より価格が高い製品も扱う。ファッションにこだわる人はかつて高級カシミヤ素材の服やビンテージのジーパン、革靴にお金を使っていた。今は高いスニーカーにも目を向けている」

 ――東京五輪・パラリンピックを前にしたスポーツ熱は一過性なのでしょうか。

 「訪日外国人は都心部のABCマートを訪れた際、日本限定品やABCマートだけで扱っているスニーカーを買っていく。中国人中心の『爆買い』こそ過ぎ去ったが、引き続き高水準で外国人が訪日しており、インバウンド需要は増えていくだろう」

 「ランニングブームは追い風だ。健康意識の高まりから日常的に体を動かす人は多い。ただスポーツに高いハードルを感じ、スポーツチェーン店に入りづらい人もいる。ファッション面を含め『形から入る』ことを狙う。健康志向で運動する人が増えれば、東京五輪・パラリンピックが天井にならない」

 ――15年に違法な長時間労働が問題となりました。

 「大型店は3~4交代のシフト制を採用しており、労働問題はクリアしている。顧客が訪れる時間帯など、その街の特性にあわせて通常店より遅い正午にオープンする路面店も設けている。より柔軟な働き方が大切だ。他社との販売競争は依然激しいが、小売業も週1回の休業日を設けたほうがよいとも考えている」

(聞き手は原欣宏)

野口実
 岐阜県出身。中大経済学部卒業後、シヤチハタ東京商事入社。91年インターナショナル・トレーディング・コーポレーション(現エービーシー・マート)入社、ABCマート1号店に勤務。00年取締役、04年常務。07年から社長。51歳。

[日本経済新聞朝刊8月27日付を再構成]

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