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20代前半(20~24歳)の若者たちが最も望むニッポンの将来像は、「引退しても(年金問題など)老後の不安がない社会」。しかし、それが「実現できる」と考える若者は1割にも満たない――。日経産業地域研究所の調査から、「失われた20年」に育った若い世代が抱えている将来不安の大きさと彼らが予想する日本の将来像とのギャップが浮き彫りになった。

調査は、1月30~31日、調査会社のマクロミルを通じてインターネットで実施。全国の20~24歳の516人(男女各258人)から回答を得た。

「日本が今後どのような社会(もしくは国)になればいいと思うか」。19の選択肢を挙げ、優先順位の高い順に1~3位まで計3項目を選んでもらった。優先順位1位のトップは「引退しても老後の不安がない」で24.8%。次いで「子どもたちが将来に希望を持てる」(13.8%)、「失敗しても再挑戦できて、再起も可能」(8.7%)、「犯罪が少ない」(7.9%)の順だ。

「なってほしいニッポン」で最も優先順位が高い項目のトップになった「引退しても老後の不安がない」は、各項目を1~3位までのいずれかで挙げた人の回答割合の合計でも40.3%と4割を超えて、やはりトップに(グラフ1)。回答者からは「老後も安心して暮らせる社会を望む」(21歳の女子学生)、「年金制度が崩壊しないでほしい」(23歳のパート・アルバイト男性)など、早くも老後の自身の生活を想定して不安解消を求める切実な声が相次いだ。

続く2位は「子どもたちが将来に希望を持てる」(34.3%)となり、これに「犯罪が少ない」(28.7%)、「失敗しても再挑戦できて、再起も可能」(24.0%)が続く。

一方、「実現できる(実現の可能性が高い)と思うニッポン」を複数回答で尋ねた結果は「女性がますます活躍できる社会」が32.6%でトップ(グラフ2)。これに「技術力で世界をリード」(25.8%)、「他国との紛争をしない」(23.6%)、「固有の伝統・文化がこれまで以上に世界的に認められる」(22.9%)、「犯罪が少ない」(20.3%)、「生涯、現役で働き続けられる」(18.6%)が続く。「この中にはない」という人も24.2%と全体の4分の1近くに上った。「なってほしい」トップの「引退しても老後の不安がない」に注目すると、「実現できる」と考えている人は9.5%と1割にも満たなかった。「失敗しても再挑戦できて、再起も可能」も10.5%にとどまった。

表1「なってほしいニッポン」の実現可能性DI
実現可能性の
高い上位7項目
実現
できる
なって
ほしい
実現可能性
DI(ポイント)
固有の伝統・文化がこれまで以上に世界的に認められる22.95.117.8
女性がますます活躍できる32.615.217.4
技術力で世界をリード25.89.915.9
生涯、現役で働き続けられる18.69.78.9
地球環境で世界をリード9.72.47.3
世界平和をリード13.86.67.2
他国との紛争をしない23.616.96.7

注)「実現できる」は該当割合、「なってほしい」は優先順位1~3の回答率合計

ニッポンの将来像について、若い世代の希望と予想のギャップをより分かりやすくするため、「実現できる」の回答割合から「なってほしい」の割合(優先順位1~3位の合計)を差し引いた値を「実現可能性DI」と規定し算出してみた。

DIの値がプラスとなったものを大きい順に並べたトップは「固有の伝統・文化がこれまで以上に世界的に認められる」(DI=17.8)、以下「女性がますます活躍できる」(同17.4)、「技術力で世界をリード」(同15.9)などだ(表1)。これに対し、DIのマイナス幅が大きい「実現可能性の低い項目」の方は、「引退しても老後の不安がない」がマイナス30.8でワースト1(表2)。以下「子どもたちが将来に希望を持てる」(同23.1)、「努力すれば必ず報われる」(同14.0)など。「なってほしい」で上位となった項目の大半は「実現できない」と諦めている人が多く、現実の政治に対する彼らの不満がうかがえる。

(日経産業地域研究所 竹内太郎)

表2「なってほしいニッポン」の実現可能性DI
実現可能性の
低い上位7項目
実現
できる
なって
ほしい
実現可能性
DI(ポイント)
引退しても老後の不安がない9.540.3-30.8
子どもたちが将来に希望を持てる11.234.3-23.1
努力すれば必ず報われる6.620.6-14.0
失敗しても再挑戦できて、再起も可能10.524.0-13.5
右肩上がりの成長が続き、所得が伸びていく4.717.9-13.2
犯罪が少ない20.328.7-8.4
所得による教育格差のない7.015.3-8.3

注)「実現できる」は該当割合、「なってほしい」は優先順位1~3の回答率合計

詳細は専門誌「日経消費インサイト」と同誌オンライン・データベース(有料)に掲載

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