ライフコラム

生きものがたり

地球温暖化を身近に伝える 昆虫の生息地

2014/9/20

温室効果ガスの影響による「地球温暖化」という言葉が近年、すっかり市民権を得て定着している。その言葉から何を連想するだろう。

■気候の変化を教えてくれる虫たち

深い草むらでチンチロリンと鳴くマツムシ=写真 永幡嘉之

一般に語られる地球温暖化とは、氷が解けることによるホッキョクグマ(シロクマ)の衰亡、あるいは海面上昇などであることが多い。大人なら遠い場所で起こっているそれらを論理的に受け止めることができる。だが、時に小学生から総合学習の一環で「地球温暖化について調べています」という質問を受けると、遠くの出来事ではなく、等身大の視線で、身のまわりの変化を話したくなる。

虫たちはそうした場面で様々な素材を提供してくれる。自分の目で確かめた事実ならば、自然環境の変化をより身近なものとして受け止められるだろう。

気候の変化によって、昆虫が生息地を広げている例は、いくつも挙げることができる。たとえば文部省唱歌「虫のこえ」に登場するキリギリスやコオロギの仲間を見渡してみよう。

北限付近では減少していたクツワムシ=写真 永幡嘉之

チンチロリンと鳴くマツムシの場合、20年ほど前までは、分布の北限は新潟県胎内市だった。1990年代に新潟平野の北の端である村上市まで広がり、今年調査したところ、さらに川を越えて2.5キロほど北上していた。山形県境に到達するにはまだ時間がかかりそうだが、確実に北上している。

虫たちがこれまで住めなかった北国にまで広がってゆく現象は、他にも複数のキリギリス類で起こっている。拡大速度が速い種の場合には、数年で10キロ以上北進した例もあることから、気候は確かに変化しているといえそうだ。

ただし、すべての種類が同じように変化しているわけではない。温暖になっているのに、逆に分布が狭まっていく種類もある。スズムシやクツワムシがそうだ。

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