持ち寄りパーティー、成功のコツは
招く側が全ての料理を用意するのではなく、客めいめいが一品ずつ料理を持ち寄る形式のパーティー。欧米諸国では、お鍋に幸運を運ぶとの意味を込めて「ポットラックパーティー」と呼ぶ。日本でも気軽な集まりとして人気だ。会をスムーズに運ぶためのコツ、持って行くと喜ばれる簡単レシピなどを達人に学ぼう。
料理 ホストが割り振り
熊本市に勤める中村史さんは持ち寄りパーティーに時々招かれる。「料理に自信がなく、毎回何を持っていけばいいのか悩む」と話す。以前に自分の料理だけが大量に余り、寂しい思いをした経験があるためだ。
「持ち寄りパーティーはホスト役の負担が少ない分気軽だが、実は様々な気配りが必要」と話すのは、フードコーディネーターの住川啓子さん。スムーズに運営するため「適切な割り振りと、確認作業が欠かせない」と言う。
ホストは持ち寄る料理を「何でもいい」と言いがちだが、ちらしずしがゲスト3人で、かぶったなどという笑い話になりかねない。「前菜やおつまみ、魚や肉料理、チーズなど大まかで構わないので指示を。その方がゲストも悩まずにすむ」(住川さん)
割り振りの基準は、会当日にゲストが職場から直接来るのか、自宅から来るのか。また、遠方かどうかなどを基準に判断したい。遠い人には重くない物をお願いする気配りが大事だ。
パーティーの当日、ホスト役は何かと忙しい。せっかくの料理を誰のどんな料理か紹介しきれないことも。自分の料理が紹介されないと寂しいものだ。「ネームカードなどにゲストの名前を書いておき、器や皿に添えれば、誰の料理か一目で分かり、会話のきっかけにもなる」(住川さん)
ゲストにも求められるマナーがある。料理が苦手な人は買って来た物でも問題ない。だが、皿に移すだけでは味気ない。買った店について何がおいしいとかちょっとした情報を添える。すると会話も盛り上がる。
料理の内容もだが「もっと大切なのは、持ち込む際のマナー」(住川さん)。訪問先の冷蔵庫を借りるような物はなるべく避けるか、事前に使用するかどうか伝えておく。料理と一緒に持参すると便利なのがトングや大きめのスプーン。ホストの手を煩わせず、すぐ料理をとり分けられる。
ホスト役への気遣いとして、料理と別に手土産を持参すると喜ばれる。「その場で開けられ、保存もきく天然水やドライフルーツなどを」(住川さん)。焼き菓子やジュースもいい。
パーティー後にも気配りを。料理が余ることも多いだろうが、自分のが捨てられるのはさみしい。料理教室「おいしい週末」を主宰する料理研究家の近藤幸子さんは「ゲストに持ち帰ってもらおう。紙製のフードパックと、積み重ねられる蓋付きのプラカップがあると便利」と助言する。
春野菜で手軽に華やか
ゲストは何を持って行けばいいのだろうか。肉や魚などを使うメーン料理はボリュームもあって持ち運びも大変なので、ホストが準備するのがよい。持っていくなら、前菜やはし休めになる野菜料理が喜ばれる。
近藤幸子さんは「春の山菜など、季節を感じられる珍しい野菜を使えば話題作りにもなる」と話す。お勧めは「紫キャベツのコールスロー」と「蒸し野菜の豆腐マヨネーズ添え」だ。
コールスローは、紫キャベツとニンジンの色味が華やか。キャラウェイシードの香りで食欲も進む。こごみなど春野菜の蒸し料理は手軽だが、ソースは市販のマヨネーズではなく、豆腐を使うマヨネーズ風のソースを一手間かけて作ろう。
外出前の慌ただしい中でも簡単に作るにはコツがある。「蒸し器の熱湯を利用して、同時に卵をゆでるなど時間短縮を心掛けること」(近藤さん)。複数の種類の野菜が同時に蒸し上がるよう、切り方や大きさを工夫しよう。蒸したせいろごと風呂敷に包んで持ち運ぶのもいい。鮮やかな野菜料理で、パーティーに彩りを添えたい。
(ライター 糸田 麻里子)
[日経プラスワン2016年4月9日付]
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。