眩 朝井まかて著
北斎の娘、天才絵師の半生
内容も完璧、装幀(そうてい)も完璧、さらには惹句(じゃっく)までも完璧な作品をどう批評したらよいのだろうか。
主人公は葛飾北斎の娘の女絵師・応為。物語は彼女の半生を描いたもので、「この世は、円と線でできている」という北斎のことばからはじまり、その北斎も没し、「この一本(の筆)はわかっていたのだろうかと、手の中を見た。まるで、おいらもつれてっとくれと言わぬばかりにお栄(応為)を呼んだのだ。/さあ、行くよと、お栄は光る草の中を踏み出した。/また、夏が始まる。」で閉じられる応為の光と影の小宇宙を、作者はこれまでの芸道ものとはまったく違う手法で描き上げた。
レンブラントの「夜警」に優(まさ)るとも劣らない、天才応為の画業に迫った傑作。
★★★★★
(文芸評論家 縄田一男)
[日本経済新聞夕刊2016年4月7日付]
★★★★☆ 読むべし
★★★☆☆ 読み応えあり
★★☆☆☆ 価格の価値あり
★☆☆☆☆ 話題作だが…
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