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もんでもダメな肩こりには 毎日5分、タオル上げ下げ

2016/4/2付 日本経済新聞 プラスワン

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肩こりがきつい。記者(54)が利用する理容室ではカットの後に軽くほぐしてくれるのだが、いつも「ガチガチですねえ」と言われる。もまれて痛みが走ることもある。ほぐすだけでは、すぐに元に戻るしぶとい肩こり。調べてみると、筋力をつけることで和らげる方法があるらしい。

どういうトレーニングなのか。個人の要望にあわせてメニューをつくるというセントラルスポーツのパレスセントラルフィットネスクラブ(さいたま市)を訪ね、説明してもらった。

「肩こりの原因の一つは筋力の低下です」。アシスタントチーフインストラクターの中沢麻知さんはそう話す。腕の重さは左右合わせて約7~8キログラム。首から肩、背中にかけての筋肉(僧帽筋)が支える。僧帽筋の筋力が落ちると肩こりになりやすい。鍛えて筋力を取り戻すことが肩こり対策にもなるという。

まず中沢さんが姿勢をチェックする。壁を背に両肩をつけて立つと「右肩が左肩よりも指2本分下がっています。腰も前に反っていますね」。体が斜めに曲がっているということだ。「このままトレーニングしても筋肉はバランスよくつきません。姿勢改善から始めましょう」

マットに横たわり、肩を一つずつ引っ張ってもらう。肩甲骨がバリバリと剥がれていく感じがした。中沢さんによると、筋肉は膜のようなもの(筋膜)に覆われており、それが固まって筋肉が動きづらくなる場合があるという。筋膜が硬く筋力も低下した状態で負荷をかけると、筋肉を痛めることがあるそうだ。

筋膜は固まらないように毎日ほぐす。自宅で簡単にできるのがタオルを使った運動。タオルを肩の上にかつぐように持ち、頭の後ろで上げ下げする。ゆっくり呼吸しながら肩甲骨の動きを意識する。腕があがりにくい人は肩だけを上げ下げ。さらに両手を左右に広げて肩甲骨を背骨に寄せるような運動をするといい。

1週間、毎日自宅でタオルを上げ下げした。1日5分ぐらいで済む。肩甲骨の動きがよくなってきた5日目からは、僧帽筋を鍛えるトレーニングを加えた。ダンベルを持ってスクワットの姿勢で椅子にすわって前傾し、肩甲骨と腹筋を意識しながら両腕を上げ下げする。

ほかのトレーニングも加えれば、さらに効果が上がるかもしれない。

早稲田大学教授の岡浩一朗さんから教わったのは、長時間座り続けることと肩こりとの関係だ。英国の研究によると、頻繁に立ったり座ったりしている人は、長時間連続で座っている人よりも首や肩の痛みが少なかったそうだ。

■1時間座ったら 立ち上がり歩く

座る時間を減らせば肩こりにもいいのか。

ずっと座っていると、第2の心臓といわれるふくらはぎの血流が悪くなり、肩など上体へ血流が戻りにくくなるそうだ。岡さんは「1時間座り続けたら、数分でいいので立ち歩くことが大事」とアドバイスしてくれた。

座る時間は、日本の1日7時間に対し、スウェーデンが同5時間、米国も同4時間との研究があるそうだ。岡さんは「豪州では座る時間を2時間減らすよう推奨している」と話す。記者も往復約2時間の通勤で立つようにした。

■床に指先が届く! 前屈で効果実感

タオル運動を開始してから1週間後、再びセントラルスポーツを訪ねた。姿勢をチェックすると、右肩下がりは指1本分ぐらいに改善していた。しかし、おなかはあまり引っ込まない。壁とおなかの後ろとの間にできる隙間は、手のひら1つがギリギリ入るくらいが普通なのだが、記者は2つ分がスッポリ入る。修正するには腹筋を鍛える必要があるそうだ。

体を前屈すると、1週間前は床につかなかった指先が、床すれすれまで届くようになった。腰の周りの筋肉が柔らかくなり、肩甲骨の可動域も広がった。腕を、背中からぐっと前に下ろせる。

この日も姿勢矯正のストレッチを30~40分受けた。「だいぶ肩が軽くなりました」。たった1週間とは思えないほど効果を実感できる。中沢さんは「肩甲骨がずいぶん動くようになっています」。まだ肩や鎖骨の周辺を押されると痛いところがあるけれど、改善した印象がある。

どうしてこれほど早く効果が表れたのか。インストラクターの中沢さんは、改善する「余地が大きかったから」と解説する。そういえば、肩周りの筋肉は、指で押すだけでも痛いくらいひどく固まっていた。だから、ストレッチで緩めるだけでも大きな効果が出たのではないかという。

もっとも、ストレッチだけで肩こりが楽になっても、筋力をつけないと伸ばした筋肉はすぐに縮こまる。肩こりしにくくするには、筋力の回復が欠かせない。タオル運動や、僧帽筋のトレーニングとは、これから長いつきあいになりそうだ。

ひざを抱えてふとももを胸のほうへ引き寄せ、腰を伸ばす
腹筋を意識しながら左右の手足を伸ばす

記者のつぶやき
■腹筋鍛えて腰痛対策
気になるのは肩こりだけというわけではない。この1年半で2回ぎっくり腰に見舞われた腰も不安を抱えている。突き出ている腹と腰を引っ込めて姿勢をなおせば、腰痛対策にもなるという。インストラクターの中沢さんに2種類の運動を教わった。
腰のストレッチは、寝転んで脚を抱えて胸元まで引き寄せる。縮んだ腰の周りの筋肉が伸びる。ゆりかごのように揺れるのが楽しい。腹筋運動は手をついた姿勢から、左右交互の手足を同時に伸ばす。背中と太もも裏なども鍛えられるが、なかなかうまくいかず体がプルプル震える。家で子どもたちに笑われたが、やめるわけにはいかない。
(川鍋直彦)

[日経プラスワン2016年4月2日付]

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