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日本ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)創業時のメンバーで、3代目社長を務めた大河原毅氏の「仕事人秘録」。米本社からは、日本人の嗜好に合わない要求もありました。

 米本社は幾度も輸入の冷凍鶏肉の採用を求めてきた。

1970年から80年代は円がドルに対して強くなった時代です。短期的な成果を重視する米本社はコスト削減のため調理方法の簡略化と外国鶏の採用を迫ってきました。

鶏肉は魚と同様に鮮度が大切ですが、外国鶏を使うとなると鮮度が損なわれます。しかも、外国鶏は血抜きが不十分で、日本の消費者の味覚には堪えられません。

ただ外国鶏を使わないならどうするか。店舗は堅調に増えています。鶏肉の需要はますます増えていきます。思い切って自らも鶏の生産に関与することにしました。

とは言っても課題山積です。国内のブロイラーは大びなが主流でしたが、ケンタッキー・フライド・チキンは小びなを使います。小びなは成長が早く飼料が少なくて済むからですが、国内では扱っているところがありませんでした。鶏問屋の老舗、鳥市商店の中村栄一郎さんに相談すると鹿児島で小びなを生産する伊地知種鶏場の伊地知正勝さんを紹介してもらいました。

年2回「鶏供養」を行う(前列奥から富田氏、ロイ・ウエストン氏、本人

年2回「鶏供養」を行う(前列奥から富田氏、ロイ・ウエストン氏、本人

でも、中村さんは「伊地知さんを説得させるのは難しいですよ」と。そこで日本KFC社長で三菱商事出身の富田昭平さんと一緒に鹿児島に飛びました。伊地知さんから開口一番、「商社とはこりごりだ」という先制パンチを食らってしまいます。いろいろな思いがあったようです。

でも、こちらも引き下がれません。「鹿児島の焼酎を飲みながら改めて話し合いをさせてください」とお願いました。鹿児島市内の与次郎ケ浜の居酒屋で焼酎を目が回るくらい飲み続けました。「小びなの取引をさせてください。でないと帰れません」。頭を下げ続けると、伊地知さんが「熱意に負けた」と言ってくださり、道が開けたのです。おまけに専用農場の建設まで約束をしてくださいました。

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