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ハラルで安心 アプリでレストラン検索 おもてなしにも活用

2016/3/31付 日本経済新聞 夕刊

東南アジアや中東地域に多いイスラム教徒(ムスリム)が日本で困るのが食事だ。イスラム教の戒律で食べられないものがある。そんな彼らも安心して行けるレストランを、口コミで紹介するアプリがある。ムスリム人口の多い東南アジアの国々からの観光客が増える中、観光やビジネスで日本に来た人々への「おもてなし」にも活用できそうだ。
ユーザーがハラル料理店を紹介するアプリ「ハラルナビ」(東京都豊島区)

「買い物に出かけたとき、このアプリで近くのレストランを探すの」。埼玉県に住むマレーシア出身のアティカさん(28)と友人のサラさんが使っているのがアプリ「ハラルナビ」だ。ムスリムも食べられる食事を提供するレストランを検索したり、自分が行った店の口コミを投稿したりできる。現在地周辺の店やモスクを簡単に検索でき、和食や洋食などのカテゴリーで分けて、店の検索ができる。

日本の企業で働く彼女たちは最近、日本人の同僚に「ムスリムの客をもてなすのによいレストランがないか」と聞かれることが増えた。その際、このアプリを紹介しているという。

■ムスリム訪日客増加

イスラム教では戒律で豚やアルコール、それに由来するものを食べてはいけないとされている。彼らが日本で食べられるレストランを探すのは一苦労だ。

イスラム教の戒律にならった対応をする店が取得するハラル認証も一つの判断基準となるが、それだけを基準とする人ばかりではない。「アルコールを一切置いていない」などの情報が大事になる。「ハラルナビ」では実際に行ったムスリムが口コミを書くため、安心して行ける店だと判断するための重要な基準の一つになる。

アプリの利用者の多くはインドネシアやマレーシアからの観光客や日本に住む人々だ。日本に来る前にダウンロードして、店を調べてから来る人も多いという。ムスリム人口の多いインドネシアやマレーシアなどからの観光客は年々増えている。15年にはインドネシアからの観光客は20.5万人で前年より29.2%増、マレーシアは30.5万人で22.4%増だった。東京五輪を控え、ムスリムが食べられるレストランを紹介してくれるアプリの需要は増えそうだ。

「ムスナビ」という店から情報を集めて掲載するアプリもある。メニューの材料を細かく表示したり、店とユーザーが相互に情報発信したりできるようにしていく予定だ。ハラルレストランやモスク、礼拝スペースを検索できる「ハラルグルメジャパン」は、外国人にもアプリの内容が分かりやすいように検索条件をイラストで表示。アプリの運営メンバーの一人、須田章弘さん(34)はムスリム人口の多いマレーシアでもムスリムが食事に困っているのを見て、日本に来るムスリムのためにアプリを作ろうと思ったという。

■ヘルシー志向に合致

口コミ情報サイト・アプリの「Yelp」(イェルプ)は、レストランの中からハラルのカテゴリーに絞って検索することができる。イェルプジャパンの高田智之社長(42)は、「最近ではベジタリアンや健康志向の高い人が、ヘルシーだと言われるハラルでカテゴリーを絞って検索する例もある」とハラルの意外なニーズを指摘する。

「ハラルは特別な人が食べる食事ではなく、みんなが食べられる食事」とユーザーやアプリの運営企業の担当者は口をそろえる。実際ハラルのレストランを検索してみると、出てくるのはエスニック料理や魚介だしのラーメン屋さん、おすし屋さんなど。“ムスリム専用”の店が出てくるわけではない。

今までハラルと言われてぴんとこない人でも、日本を訪れる観光客や取引先をハラルレストランで「おもてなし」する機会はやってくるかもしれない。ハラルレストランの検索アプリを使えば、すてきなレストランや一風変わったエスニック料理を発見できる。ハラルやイスラム教を身近に感じるきっかけにしてみてはいかがだろうか。

(経済部 光井友理)

[日本経済新聞夕刊2016年3月31日付]

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