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虚の中で光る現実撮る ドキュメンタリーの可能性追究

ドキュメンタリー監督・松江哲明さん

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NIKKEI STYLE

一般にドキュメンタリーといえば、実際の出来事をありのままに記録したものをイメージする。では、虚構が入るとそれはドキュメンタリーではないのか。監督を務めるテレビ東京の「その『おこだわり』、私にもくれよ!!」(4月8日から、金曜深夜0時52分~)は、その一つの回答を示そうとしているようだ。

ドキュメンタリーの可能性を常に追究してきた。自らのルーツを祖父の代からたどる「あんにょんキムチ」、編集なしのワンカットで街頭のミュージシャンを撮影した「ライブテープ」、3D映像を異なる時間の層を表現する手段として用いた「フラッシュバックメモリーズ3D」――。手法、テーマともに前作と同じものをよしとしない。「毎回、自分をリセットして撮影に臨んでいる」

今回挑むのは「フェイクドキュメンタリードラマ」だ。ドキュメンタリーの体裁で、架空の出来事を描く。清野とおるの漫画を題材に、多くの人には理解されない強烈なこだわりを持つ人々を取り上げる。

昨年、映画監督の山下敦弘とともに監督を務め、同局で放送された「山田孝之の東京都北区赤羽」と似た印象を受ける。ただし「手法は全く違う」。「山田孝之の……」が事実を映像化したのかフィクションなのか明確にしていないのに対し、今作は虚構であることが前提だ。ただし、いくつかの仕掛けがしてある。

主演の女優、松岡茉優はドラマの中でバラエティー番組の司会を担当する松岡茉優、本人役として登場する。「虚の中に、実在の人物を放り込む。そこで何が起きるかを記録したい」ともくろむ。ドラマの一部には筋書きがなく、台本も「無視していい」と俳優にいう。すると「掛け合いの中で、思いがけないリアルな反応が生まれてくる」。ドラマの中の松岡は役でありながら、普段の松岡と地続きの存在だ。設定がフィクションであっても、表れる反応に事実がまぎれ込む。

撮影現場で象徴的な場面を目にした。多くのエキストラとともに松岡が舞台上で踊るシーン。老若男女が一斉に歌い踊る様子を見て、松岡はこらえ切れず笑いを漏らした。ドラマなら間違いなくNGになるところだろう。しかし、「このテークを使いたくなった」。思わず漏れた笑いこそリアルな反応にほかならない。「エネルギーのぶつかり合いから生まれる化学変化」に目をこらしている。

「ドキュメンタリーはもっと自由でいい」と語る。「実際の出来事をただ映すばかりではない。海外には過去の出来事をアニメで再現するような作品もある」。被写体はカメラを意識するし、映像は編集される。そこに主観が入る以上、全てが真実だとは言い切れない。ならば、虚の中に生まれるリアルを記録するのもまたドキュメンタリーのありようなのかもしれない。

「山田孝之の……」では主役の山田が「暮らしている」町として描かれた東京・赤羽で、視聴者が山田を探し歩くなど、作品が現実を侵食するような反響があった。「足を運んで構えて見る映画とは、瞬間風速的な盛り上がり方が全然違う」。テレビで作品を作る可能性を感じている。

◇     ◇

最前線で一緒に楽しむ

ロケ現場でカメラの近くにいるであろう監督の姿を捜したが見当たらない。見回してみると、エキストラの後ろで一緒になって踊っていた。「思わず見てて楽しくなっちゃって。大人が本気でふざけながら撮る。それは見ている人に伝わると思う」と笑顔を見せる。そんな松江が指揮する現場には笑いが絶えない。

モニターは見ない。現場に空気のように溶け込んで、撮影を見守っている。「誰よりも早く現場が見たい。そうすることで臨機応変に指示が出せる」。本番の撮影中でも、構わず役者に声をかけることも珍しくない。撮り直すのではなく、「思いついたことをその場で口にして伝える」というのがいかにもドキュメンタリー監督らしい。

作品を作る際、「見る人のことはうまく想像できない」という。代わりに考えているのは「出演者や原作者の人を楽しませ、驚かせること」。理由はシンプルだ。「関わっている人が面白いと感じてくれる作品は絶対面白くなる」

(文化部 赤塚佳彦)

[日本経済新聞夕刊2016年3月30日付]

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