働き方・学び方

イチからわかる

年度はなぜ4月からなの?

2016/3/19付 日本経済新聞 プラスワン

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イチ子お姉さん もうすぐ4月。日本全国の学校で新年度が始まるわね。国の予算も4月始まりだし、会社も多くがそうだわ。なぜだか知ってる?
からすけ 確かに新年度って、学校だけでなくいろんなところで4月からだね。カレンダーの暦(こよみ)は1月から始まるから、考えてみれば不思議だなあ。

■130年前、明治政府が導入

 からすけ 4月から学校は新年度だね。国の予算も新年度になるのか。

 イチ子 お金の出入りを管理するのに必要な区切りを「会計年度」というの。国の会計年度は、財政法(キーワード)という法律で4月1日から翌年3月31日と決まっているの。1886年(明治19年)から始まって、今まで続いているのよ。

 からすけ 130年間も4月始まりの年度が続いてるってことか。どうして4月に始まるのかな。

 イチ子 税金を納める時期に合わせたという説があるわ。でも明治政府ができた当初は違っていたの。

 からすけ え、いつ?

 イチ子 「明治財政史」という資料の記録によると、1869年(明治2年)に会計年度の規定を設けて「10月~9月」にしたそうよ。でも数年後には「1月~12月」に、さらに「7月~6月」と、最終的に4月始まりにするまで何度か変わったみたい。理由はよくわからないんだけれどね。

■会社は1月も増えている

 からすけ 4月になってからは、変える話は出なかったの?

 イチ子 あったようよ。田中角栄元首相は自民党の政調会長の時、法律を変えて、国の会計年度を暦に合わせて1月から12月にしようと言っているわ。でも変えなくてはいけない法律が多くあって無理だ、と当時の大蔵省(現在の財務省)に反対されたみたい。

 からすけ 会社の会計年度は何月が始まりなの?

 イチ子 日本の会社は、会計年度の時期を自由に決められるわ。実際は、国や地方自治体の会計年度に合わせて、4月から翌年3月を年度の区切りにする場合が多いの。2015年12月時点で、全上場企業の68%が3月末を区切りにする「3月期決算」なのよ。ただ、最近は変化もあるわ。

 からすけ どんな変化?

<キーワード>
 財政法 国の予算を作る時やお金を使う時の決まりを定める法律。国のお金のやりくりを考える基本になる。
 会計基準 会社のもうけや財産などの状況を表すルール。株主や投資家が企業と企業を比べやすくする。

 イチ子 1月に始まり、12月末を決算期にする会社が増えているの。2015年には2年前に比べ2割増えて365社になったわ。海外に子会社など仕事の拠点(きょてん)を多く持つ会社では、子会社と本社の決算期を合わせる動きが出ているのよ。国際的な会計基準(キーワード)で、グループ内の決算期を一緒にするよう求めているの。

 からすけ 海外では12月末で区切る会社が多いの?

 イチ子 そうね。米国でも日本と同じく決算期を会社が自由に決められるんだけれど、12月期決算の企業が多いそうよ。中国は企業の決算は1月~12月末まで、と法律で決めているから、全ての会社が12月期決算なんですって。

 からすけ ボクたちの学校はどうなの? 

 イチ子 法律に基づいて学年が4月1日に始まり、翌年3月31日に終わるわ。でも4月始まりじゃなかった頃(ころ)もあるの。

 からすけ え、いつ? 

 イチ子 明治10年代末までは、小学校はおおむね1月スタートだったらしいけれど、学年制がなかったから流動的だったそうよ。先生を養成する師範(しはん)学校(がっこう)や中学校はほぼ9月からだったんですって。

 からすけ いつから4月始まりになったの?

 イチ子 1886年に、当時の文部省(現在の文部科学省)の指示で高等師範学校が4月始まりになったの。国の会計年度の始まりの4月に合わせないとお金の処理が不便になると考えたためみたい。

 からすけ 国の会計年度に影響されない「年度」はないのかな。

 イチ子 「米穀年度」って聞いたことある?

 からすけ 何それ?

 イチ子 米穀年度は米の収穫期(しゅうかくき)を区切りとした1年の期間よ。昔は新米が出回るのが11月だったから、米は11月始まりなの。お酒は酒造年度といって、酒造りが始まる時期に合わせて昔は10月からだったの。でも製造設備や技術の発達などで10月より前に酒造りをするところが出てきたから7月になったようよ。年度の始まりを調べると、昔の日本人の暮らしが見えて面白いわね。

■「早生まれ」にも影響

豊島岡女子学園中学高等学校の神谷正昌先生の話 元プロ野球選手の桑田真澄氏は高校1年の夏から甲子園に出ました。4月1日生まれで、当時、出場中最も若い選手としても話題でした。
 4月1日生まれは「早生まれ」に含まれ、小学校には満6歳になった4月1日に入学できます。学校教育法では、満6歳(さい)になって初めて迎える4月1日に入学することになっているのですが、民法上、年をとるのは誕生日前日の深夜12時。つまり3月31日の深夜12時に満6歳になるからです。
 早生まれは、就学年度が4月1日始まりのため生じます。では年度が1月始まりの時代はどうだったのでしょうか。日本では、明治半ばに満年齢(まんねんれい)で一本化される前は「数え年」を使っていました。生まれた年を1歳とし、正月を迎えるごとに年齢を重ねるというもので、皆が一斉(いっせい)に年をとっていたのでわかりやすかったようです。
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[日経プラスワン2016年3月19日付]

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