サッカーボール、なぜ五角形と六角形からなるの?

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スーちゃん サッカーボール、なぜ五角形と六角形からなるの?
森羅万象博士 ボールは平面の皮を組み合わせて作るよね。もとは多面体なんだ。
スーちゃん 多面体にも色々あるよね。どうしてその組み合わせなのかしら。
森羅万象博士 球に近づける工夫なんだ。どんな形か解説しよう

博士より サッカーボールというと、黒い正五角形と白い正六角形が集まった球を思い出すよね。正五角形が12枚、正六角形が20枚の皮をぬいあわせてある。サッカーボール型の立体は三十二面体と呼ばれ、古代ギリシャのアルキメデスが考え出したといわれる。

すべての辺が同じ長さで角の大きさが等しい図形を「正多角形」と呼ぶ。正三角形や正方形、正五角形、正六角形などだ。

4つ以上の平面でできた立体は「多面体」という。同じ正多角形でできた立体図形は「正多面体」、2種類以上の正多角形でできたものは「準正多面体」と呼ぶんだ。サッカーボール型の三十二面体は正五角形と正六角形でできているから準正多面体だ。

三十二面体は正五角形と正六角形というほぼ同じ形の面でできているため球の形に近い。サッカーボールにして空気を入れると、球に近い形ができる。その方がパスするときにきれいにボールが転がるし、選手にとってもあつかいやすい。ボールのどの部分をキックしても、力がボールに均等にかかるからコントロールしやすい。しかも丈夫だ。このデザインは1960年代後半から使われるようになった。

正多面体は5種類ある。正三角形が4枚集まった正四面体、正方形6枚でできた正六面体、正三角形が8枚の正八面体、正五角形が12枚集まった正十二面体、正三角形が20枚連なった正二十面体だ。

その中で、面が最も多い正二十面体が三十二面体と関係している。正二十面体の1辺の長さの3分の1のところにナイフを入れて五角すいを切り落とすと、三十二面体ができる。切り落とした部分は正五角形で、残った面は正六角形になる。

正二十面体の頂点(ちょうてん)は12個だから、切り落とした部分の正五角形は12個できるよね。残った正六角形はもとの面の数と同じ20個になるね。頂点は正五角形のまわりに必ずあるから、5×12=60個と計算すれば求められるよ。

辺の数の数え方はこんなやり方があるよ。正五角形は12個なので辺の数は「12×5=60」、正六角形は20個で「20×6=120」。ただ1つの辺に正五角形と正六角形がくっついているから、足した数字を2で割ると90。これが辺の数だ。

正二十面体や三十二面体はむずかしくてかんたんには作れない。科学館などで、型をとった厚紙を使って立体を作る教室が開かれることがある。ぜひ参加して実際に組み立ててみると勉強になるよ。

■分子の世界にもあるよ

博士からひとこと サッカーボールの形をした物質が世の中にはある。炭素の原子が60個集まった「C(シー)60(ろくじゅう)」と呼ぶ物質だ。三十二面体の頂点(ちょうてん)に炭素原子があって、直径は1ミリメートルの100万分の1ととても小さい。発見した米国と英国の科学者は1996年にノーベル化学賞を受賞しているよ。
球に近い性質は他の分野でも生かされている。例えばプラネタリウム。大空を三十二面体に区切って、それぞれの面に作った星の像をスライドのように映す。サッカーボールの形をした投影機(とうえいき)もあるよ。原子爆弾(ばくだん)の核(かく)爆発を起こす装置も三十二面体だったことがある。

(取材協力=渡辺信・日本数学検定協会常務理事)

[日経プラスワン2016年3月19日付]