スプリングコート 今年風に着こなす
トレンチ 腰ひもだけで
春コートの定番といえば、ベージュやカーキ色のトレンチコート。ビジネスにもカジュアルにも着回せるので、1着は持っているという人は多い。ただ、かっちりとした印象が強く、「下に何を着ても同じ印象になってしまう」(30代女性)という声をよく聞く。
トレンチコートの由来は、塹壕(ざんごう)を意味するトレンチ。第1次世界大戦時、兵士の軍用コートとして欧州で作られたのが始まりだ。「ボタンを全て留め、ベルトまで締めると男性的な印象になる」とパーソナルスタイリストの三好凜佳さんは指摘する。
三好さんお勧めの着崩しは、ボタンは留めずにベルトだけ前で結ぶか、前を開けてベルトを後ろで結ぶ方法だ。「今春のファッションのトレンドである、女性らしさや柔らかさを演出できる」という。
まずは自分に合うものを選ぼう。ポイントは「色とシルエット」と三好さん。
色は自分の肌や目、髪の色などを基に合わせるとよい。肌の黄色みが強い人はベージュやカーキ、肌が白く赤みのある人は薄いベージュやグレー、ネイビーが似合う。シルエットは、バストが豊かなど上半身に厚みがある人は、綿素材でストレートラインのかっちりした物、肩周りが薄いきゃしゃな人は、柔らかい素材の曲線的な物がお勧めだ。
毎年コートを買うのは負担だが、何かしら今年らしさを演出したい。そんなときは小物や流行の色柄、素材の洋服で印象を変えることができる。三好さんが提案する職場向けのスタイルは、主色をブルーに絞った爽やかなワントーンコーディネート。「はやりのスカーフやレース素材のスカートで優しく上品な雰囲気に」(三好さん)。
休日にはスニーカーと合わせれば雰囲気がガラリと変わる。「デニムシャツと赤のベルト、白いワイドパンツで赤を効かせた配色を楽しんでみるのもいい」と三好さん。バンダナ柄の布で飾られたかごバッグを合わせる。コートの袖をまくり、エリの後ろ側を立てるとよりカジュアルだ。
今年は、堅いイメージのトレンチコートにも「デザイン性の強い物が多く出ている」と三好さん。丈が長いのが今年の特徴の一つ。通常は100センチ丈が多いが、ふくらはぎまですっぽり隠れる130センチほどの物も。「ワイドパンツに長い丈のトレンチを合わせるとよい」という。素材もポリエステル系の柔らかい物があり、おしゃれの幅が広がりそうだ。
2着目 ピンク色に挑戦
トレンチコートは既に持っていて、2着目のコートを買いたい、という人もいるだろう。
西武池袋本店(東京・豊島)婦人服飾部ファッションアドバイザーの秋葉恵美子さんは「ピンクや水色といった、冬には着ない色のコートに挑戦してほしい」と話す。海外ブランドの流れもあり、流行色はピンク。ベージュピンクやスモーキーピンクなど、落ち着いた色味も多く、大人の女性も着やすいという。
オレンジや赤といった鮮やかなビタミンカラーには白やはっきりした柄のインナーが合わせやすい。ベージュと並び、年間通して着やすいネイビーのコートは全体的に地味な印象になりがちなので「ネックレスやスカーフ、バッグに赤などの明るい色を組み合わせて」と秋葉さんは助言する。
ミリタリー風のカーキ色のコートも人気のデザイン。「優しい印象のプリーツスカートと組み合わせて、女性らしく着こなすとよい」と秋葉さん。首元、手首、足首の「三首」を見せて着ると、やぼったくなりにくい。新しい季節とともに、分厚いコートを脱ぎ捨て、イメージチェンジを図ってみては。
(柳下朋子)
[日経プラスワン2016年3月12日付]
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