ライフコラム

子どもの学び

日食ってどうやっておきるの?

2016/3/15 日本経済新聞 プラスワン

インドネシア・カリマンタン島で観測された皆既日食(9日)=写真 小谷裕美

■日食ってどうやっておきるの?

スーちゃん 9日の日食を楽しみにしていたけど、私の住んでいるところはくもっていて見えなかった。残念だったなぁ。日食は太陽が月のかげになったときに見えると聞いたけど、どうなっているのかな。

■太陽が月にかくされちゃうんだよ

森羅万象博士より 日食が起きるのは太陽と月、地球が一直線に並んだときだ。地球と太陽の間にある月と太陽が重なったときに日食になる。

9日に日本で見えたのは太陽の一部が欠ける「部分日食」だった。くもっていなければ、北海道から沖縄まで広い地域で観測できたはずだった。インドネシアでは、太陽がすっぽり月にかくれる「皆既(かいき)日食」が起きたよ。

地球で日食が見えるのは、月のかげになったところだ。皆既日食は太陽の光が月に完全にさえぎられて、こいかげになったところで起こる。部分日食は太陽から来る光が一部さえぎられて、うすいかげができているところで見えるよ。

皆既日食は「金環(きんかん)日食」になるときもある。太陽の中心部が月にかくれて金の輪のように見えてきれいだよ。日本では2012年5月21日に広い地域で観測された。

皆既日食になるか金環日食になるかは地球と月の距離で決まる。月が地球に近いときに起きるのが皆既日食で、遠いときは金環日食になる。

月と地球の距離は近いときで約36万キロメートル、遠いときは約40万キロメートルある。近いときと遠いときで、月の見かけ上の直径は約10%もちがうんだ。

これは月の公転軌道(きどう)が地球を中心とした円ではなく、だ円形になっているからだ。近いときは月の見かけが大きくなるから、太陽がすべてかくれて皆既日食が起きる。遠いときは太陽のふちがはみ出して金環日食になる。

月の直径は地球の約4分の1しかなく、月によってできるかげは地球よりもずっと小さい。だから、皆既日食や金環日食は限られた場所でしか見ることはできない。地球上では毎年2~3回起きているけど、同じ場所で観測できるのは340~360年に1度といわれているよ。

月は地球の周りを約27日かけて一まわりする。日食は1年に何度も見られそうな気がするよね。太陽、月、地球と並んで月が見えなくなる新月は毎月起きている。でも、月の軌道がつくる公転面は地球の公転面に対して約5度かたむいているから、太陽と月、地球が一直線上に並ぶことはめったに起こらない。新月のたびに日食にならないのはこのためだ。

月が欠ける月食は満月のときに起きる。こちらも、たいていのときは月が地球と太陽の延長線からずれているから月食にならない。月食が起こるのは、月の軌道が地球の公転面とぶつかっている点で満月になるときなんだ。

日食が起きるとき、月は太陽の手前を右側から左側に通りぬける。だから北半球で観測したときは、まず太陽の右側から欠けていき、太陽の右側から現れて、もとの丸い形にもどる。皆既日食では、太陽を取りまく超高温のコロナが太陽の何倍もの大きさでかがやいて見えるよ。

次に日本で部分日食が起きるのは3年後の19年1月6日だ。次こそは全国的に晴れて、みんなが日食を見ることができるといいね。

■皆既日食はそのうち見られなくなる

博士からひとこと 地球から見る月の大きさは太陽とほぼ同じだ。だけど、はるかむかし、月は今よりずっと地球の近くにあって、見かけ上の大きさも太陽よりもずっと大きかった。だから、皆既日食ばかりで金環日食は起こらなかったと考えられている。
月は1年間に2~3センチメートルずつ地球から遠ざかっているよ。これは潮の満ち引きを起こす「潮汐(ちょうせき)力」が影響している。このまま月がはなれていくと、数億年後には、地球から見える月は太陽より小さくなってしまい、太陽をおおいかくすことはできなくなるといわれる。そのとき、皆既日食は見られなくなってしまうんだ。

[日経プラスワン2016年3月12日付]

ライフコラム 新着記事

ALL CHANNEL