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災害に備え家族と訓練 「171」で連絡、避難路を確認

2016/3/5付 日本経済新聞 プラスワン

 東日本大震災から5年。災害発生時にどう行動すればいいのか。いざというときに困らないためにも、日ごろから考えておくことが大切だ。離ればなれの家族とどう連絡を取り、落ち合うか試した。同時に避難場所、自宅周辺の危険箇所なども確認してみた。

 安否確認といえば、NTT東日本と西日本の災害用伝言ダイヤルが思い浮かぶ。被災地の人が171に電話し、自宅の電話番号を登録して、そこにメッセージを残す仕組み。全国どの電話会社の回線でも使え、通信規制がかかる災害時でもつながりやすいという。災害時以外は使えないが、NTT東日本によると、毎月1日と15日、夏の防災週間などで体験利用ができる。2月15日に使ってみた。

 まずは自分のスマートフォン(スマホ)から171に電話した。すると録音か再生かを聞いてくる。「1」を押して録音を選ぶと、自宅の番号か、連絡を取りたい被災地の電話番号をダイヤルするよう指示される。そこで、自分の携帯番号を入力すると「指定以外の番号がダイヤルされました」。音声ガイダンスが流れた。NTT東に確認すると「体験利用日は被災地以外でも利用できるが、伝言を録音できる番号は今のところ固定電話だけ」とのこと。

■災害用ダイヤル 携帯の番号使えず

 伝言ダイヤルは、メッセージを残す際に自分の電話番号を登録する。聞きにくる人もその電話番号を入力して伝言を再生する。しかし、現時点では携帯電話の番号を登録して伝言を残すことはできない。携帯だけで固定電話を持たない人にとっては不便だが、「携帯番号にも伝言が登録できるように、検討を進めている」(NTT東)という。

 スマホから171にかけ、自宅の固定電話の番号を入力すると、今度はすんなり録音できた。それを携帯で再生した妻は「ちゃんと確認できた」。遠方に住む実家の母にも入力を頼んだら、「うちはダイヤル式だけど大丈夫?」。試してもらったところ利用できた。現在、050で始まるIP電話は入力できない。

 安否確認サービスは携帯各社も「災害用伝言板」として提供している。スマホの場合は専用のアプリを事前にインストールしておく。携帯は災害が発生すると、インターネットサービスのトップ画面に入り口ができる。画面の指示に従って「無事です」などの項目を選んでメッセージを送る。こちらも体験利用してみたが、わかりやすかった。

 伝言サービスを使わずメッセージを託す方法はないか。災害危機管理アドバイザーの和田隆昌さんは「遠方の家族や知人を緊急時の連絡先にしておくのも有効」と説く。災害時でも、被災地の中から外への電話は比較的つながりやすい。遠方の人に伝言を託す手段も考えておきたい。

 安否連絡の次は我が家の避難場所を確認した。自宅から一番近い公共施設は中学校だが、区のホームページの「防災マップ」には小学校が一時避難場所とある。少し離れた場所にある団地が広域避難場所だという。何が違うというのか。

■周辺の浸水リスク 国交省のサイトで

 「自宅が危ないときに一時的に逃れるのが一時避難場所で、大火災などでそこも危ないときに向かうのが広域避難場所」と和田さん。災害発生時に、自宅が安全ならそのままとどまるのが基本。避難場所への移動は、自宅に倒壊や火災などのリスクがある場合に限る。どんなルートか、実際に歩いて確かめてみた。

 小学校までの道は2通り。学校の隣にある公園に行くときによく通る道は「途中に坂道があって見通しが悪い」と妻がいう。そこで、避難時はもう一つの普段の登校ルートを使うと家族内で決めた。

 広域避難場所の団地までは広い道が多かった。ただ自宅から直行せず、いったん小学校に行ってから団地に向かうと、途中に崖があった。

 和田さんによると、国土交通省のサイト「ハザードポータル」には各種の情報が集約されている。「重ねるハザードマップ」もその一つ。住所を入力すると周辺の浸水リスクや崩壊危険箇所などが地図上に示される。自宅から広域避難場所までのルートでは、やはり小学校から団地に向かう崖下が「急傾斜地の崩壊警戒区域」となっていた。

 危機管理アドバイザーの国崎信江さんは「我が家の避難マニュアルを作るといい」と勧める。連絡手段や家族の電話番号、実家の番号などを書き、避難場所とルートも記入する。「具体的にどこで待ち合わせるかまで書くことが大事」。災害時は人があふれ、避難場所のどこにいるか迷いやすい。我が家は、待ち合わせ場所を小学校の鉄棒前、団地内のスーパー前と決めた。

 避難場所には何を持って行けばいいか。国崎さんは「ないと安全に過ごせないものが最優先」と話す。コンタクト用品や補聴器、持病の薬などだ。「止血パッドもあるといい」。はぐれたときのために、防災袋には家族それぞれが個別に必要なものを入れる。子どもならおもちゃでもいいそうだ。記者の場合、予備のメガネは必須だろう。

会社のあるビルの1階にも
ドラッグストアの店頭にAEDが置いてあった

記者のつぶやき
■場所知っておけば安心
 心停止状態の人に電気ショックを与えて蘇生させる自動体外式除細動器(AED)。自宅から取りに行く訓練をやってみた。
 日本救急医療財団の「全国AEDマップ」やスマホの防災アプリ「全国避難所ガイド」で場所は検索できる。自宅近くでは中学校にあることがわかった。走ると4分で戻れた。学校が休みになる週末が気になったが、土日も営業しているスポーツクラブにもあることがわかった。駅前では銀行や薬局などに置いてあった。
 職場付近のビルの1階でも見つけた。社内にもあるようだ。避難場所や連絡方法、AEDと、事前に調べておくと安心感が違うと痛感した。
(河尻定)

[日経プラスワン2016年3月5日付]

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