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マネー・ショート 華麗なる大逆転金融街、クールに陽気に

2016/3/5

映画レビュー

アメリカの住宅バブル崩壊を発端に世界経済に大打撃を与えたリーマン・ショック。その裏にウォール街を出し抜いて大儲(もう)けした男たちがいた、という実話がモデル。

コメディ畑で人気のアダム・マッケイが、ブラッド・ピット主演『マネー・ボール』の原作者マイケル・ルイスの「世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち」を監督・脚本で映画化した。

2005年、好景気の真っ最中。変人で通る金融トレーダーのマイケル・バーリ(クリスチャン・ベール)は、サブプライム・ローンの破綻を予測するが誰も信じない。そこで彼はバブル崩壊で大金が入る空売り契約を投資銀行と結んだ。

ウォール街の銀行マン、ジャレド(ライアン・ゴズリング)はマイケルの空売り戦略に注目、日ごろから銀行の汚い手口を怒る生真面目なヘッジファンド・マネージャーのマーク(スティーブ・カレル)にマイケルの戦略を勧めた。

同じとき、ひと山当てたい二人組の若者が、空売りに必要なコネを求めて第一線を退いた伝説の銀行家ベン(ブラッド・ピット)を訪ねていた。やがて2008年、住宅バブルがはじけた……。

経済用語を所々に出てくる派手な美女や有名シェフが具体的に説明、わかり易く解説されたドラマは、アメリカ経済の破綻によって勝つことになる男たちのマネーゲームに対するあくなき執着を描き出す。

そこはコメディが得意な監督、笑わせながら、バブルに踊るウォール街の金融マンの思い上がりに注ぐ冷めた視線は辛辣で大胆。アメリカ映画らしい毒のある陽気な意地の悪さが楽しく、最後に出る勝者のその後も興味深い。

今年のアカデミー賞では作品・監督賞を含む5部門で候補に挙がり、脚色賞を受賞した。2時間10分。

★★★★

(映画評論家 渡辺 祥子)

[日本経済新聞夕刊2016年3月4日付]

★★★★★ 今年有数の傑作
★★★★☆ 見逃せない
★★★☆☆ 見応えあり
★★☆☆☆ それなりに楽しめる
★☆☆☆☆ 話題作だけど…
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