鳥打ちも夜更けには 金子薫著奇想天外、政治的な寓話

(河出書房新社・1500円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

舞台は「架空の港町」と呼ばれる、とある島。そこでは、町長の意向を受け、主要産業を漁業から観光に変えて、花畑で育つアゲハチョウをその目玉にしている。ゆえに、アゲハを捕食する海鳥は、厳しく制限されなければならず、吹き矢で海鳥を殺す仕事――「鳥打ち」――が必要不可欠な仕事となる。

沖山、保田、天野の3人の鳥打ちが主たる登場人物。沖山が語り手である。3人はそれぞれ鳥打ちについての思想を持っている。その差異が、島に不穏な空気をもたらし、最後に待っているのは、奇想天外な破局だった……。

稠密(ちゅうみつ)な文章がいい。それから、こうした寓話(ぐうわ)こそが、すぐれて政治的であることを再確認させてくれる。期待大。

★★★★

(批評家 陣野俊史)

[日本経済新聞夕刊2016年3月3日付]

★★★★★ 傑作
★★★★☆ 読むべし
★★★☆☆ 読み応えあり
★★☆☆☆ 価格の価値あり
★☆☆☆☆ 話題作だが…

鳥打ちも夜更けには

著者 : 金子 薫
出版 : 河出書房新社
価格 : 1,620円 (税込み)

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