MBAコース、独自色の新顔BBT、起業に特化 早大、金融専門に

2016年度、国内の経営大学院に相次いで新顔が登場する。ビジネス・ブレークスルー(BBT)大学大学院は起業家育成、早稲田大学は金融人材の養成コースをそれぞれ設ける。独自色を前面に出し、競合する海外ビジネススクールに対抗するのが狙い。経営学修士(MBA)の取得などビジネススクールの活用を考える社会人にとっては、学びの選択肢が広がることになる。

インターネットで講義を配信する社会人向け大学院、BBT大学大学院は4月に「MBA本科(経営学研究科経営管理専攻)アントレプレナーコース」を開設する。コース長を務める椿進教授は「起業家としてどう成功するかを体系的に教える。将来的には日本を代表するような起業家を輩出したい」と意気込む。

独自性を打ち出し、社会人学生を取り込む(早稲田大学ビジネススクールの授業)

BBT大学大学院には現在約400人が在籍。同コースは最短2年で経営管理修士を取得できる。1年目は従来の経営管理修士コースと同内容だが、2年目以降は資金調達の方法や新規株式公開(IPO)に備えた財務の知識など起業に特化した内容を中心に学ぶ。

起業プラン作成のため、年に10回、教授や起業経験者から1対1の個別指導を受けられる「ビジネスプラン演習」も実施する。卒業後も、同校を運営するビジネス・ブレークスルー傘下のファンドによる出資などの支援策を用意している。

同コースの定員は30人で4月開講分は3月7日まで追加募集中。学費は通常のMBAコースと同額で、2年間で287万円(入学金含む)。

早稲田大学ビジネススクール(WBS)は4月の早稲田大学ファイナンス研究科との統合を機に、社会人向けMBAコース「夜間主プロフェッショナル(ファイナンス専修)」を開設する。経営学に加え財務・金融知識を深掘りする独自のカリキュラムを通じ、国際社会で活躍できる金融の専門家を養成する狙い。

授業は仕事と両立できるよう、従来の夜間主MBAコース同様に平日の夜間と土曜日に開講する。金融研究に特化した10のゼミで2年間研究に取り組み、自身の専門性を高めながらMBAを取得できる。授業料(入学金含む)は2年で302万6000円で、4月入学分は既に締め切った。

米スタンフォード大学など海外の有力ビジネススクールは、独自の専門性を打ち出し世界中から志願者を集めている。統合後のWBSで研究科長に就任する根来龍之教授は「WBSも金融という強みで存在感を高めたい」と強調する。

金融の専門家であるファイナンス修士を育成するプログラム「MScインファイナンス」も9月に開設する。定員は20人で、授業は全て英語で行う。大半は海外からの留学生を見込むが、世界の金融市場の動向に関心を持つ日本人にも門戸を開いている。

グロービス経営大学院も16年度から「テクノベートMBAプログラム」の名称でMBAコースのカリキュラムを刷新する。テクノベートとはテクノロジー(技術)とイノベーション(革新)を掛け合わせた造語だ。人工知能やデータ解析といった企業経営にとっても重要な先端技術を学ぶ講座を導入し、ビジネス環境の変化に対応した実践的な教育内容を提供する。

ベンチャーキャピタルの経営者でもある堀義人学長は「技術の進歩とともに、起業家や経営者などリーダーとして必要な資質が変わりつつある」と指摘する。経営に不可欠となりつつあるIT(情報技術)知識を重視したプログラムで、競合との差別化を図る。

MBA取得を考えるビジネスパーソンは、カリキュラムが自身の目的に合っているか、また受講しやすいかなどを踏まえて講座を選びたい。

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アジア有力校もライバル 中堅以下中心に定員確保で苦戦

日本のビジネススクールは1962年設立の慶応大学ビジネス・スクールが先駆けだ。その後、2003年に始まった専門職大学院制度により全国で新設が相次いだ。

ただ、定員の大幅な増加に伴って学生の獲得競争も激化。足元では中堅以下を中心に多くのビジネススクールが定員確保で苦戦を強いられている。13年に日本大学のビジネススクールが学生募集を打ち切るなど、撤退するところも出てきた。

海外に目を転じると、欧米より留学コストが安いアジアのビジネススクールの国際評価が高まっている。英フィナンシャル・タイムズがまとめた16年グローバル経営学修士号(MBA)スクールランキングでは、100位中にアジアの学校が13校入った。日本勢は調査に参加しなかった。

文部科学省によると、専門職大学院の「ビジネス・経営技術(MOT)」専攻の入学者数は増加傾向が続く。しかし、同専攻の新規開設は12年度を最後に1件もない。

今回各校が新設したのはより実践的なコースで、そこには独自色を打ち出し国内外から学生を呼び込もうとの狙いがある。今後、アジアの有力校と肩を並べるために、各校には「経営」の集合知の活用を期待したい。(山田和馬)

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