ランニング、アプリがお供 走った距離をグラフで把握
情報共有、励まし合う
「最近走っている距離は右肩上がりですね」
今月28日開催の「東京マラソン2016」に参加する川崎市在住の会社員、新居田晃史さん(32)。今年に入り練習のペースを上げている新居田さんのスマホに、励ましのメッセージが届いた。ランニングの仲間がアプリ「JogNote」に送ったものだ。
新居田さんは技術者としての仕事のかたわら、マラソン練習に励んでいる。毎月平均150キロメートルを走ってきたが、今年1月には距離を245キロメートルに増やした。JogNoteを使い、専用時計で測った距離と時間を記録し、データをほかの利用者と共有している。
JogNoteは、ランナーの定番アプリ。自分の走ったデータを入力すれば、実績が週ごとや月ごとにグラフ化され、簡単に管理できる。過去情報のアーカイブにもなるので、調子が上がっているか落ちているかを見比べるのに便利だ。交流サイト(SNS)感覚でユーザー同士で情報の共有ができ、仲間意識が深まる。
「JogNoteでエールを送り合うことによって頑張るエネルギーが出る」と新居田さん。今回の東京マラソンでは、「2時間29分30秒の自己ベスト更新を目指したい」と意気込む。
ランナーなら誰もがそろえるシューズ、ランニングウエア、ウオッチなどのグッズの中に、アプリも仲間入りしつつある。
アプリの中には、スマホ内蔵の全地球測位システム(GPS)機能で走行情報を計測できるものもあるが、複数のランナーに聞いたところ「スマホのGPSは正確ではないので、距離や時間の正確な計測にはあまり使わない」とのこと。アプリに求めるのは大会情報の検索や練習支援などの機能だという。
出場できる大会検索
世界各地では毎年、1500以上のマラソン大会が開かれるといわれる。開催日や場所、距離などの項目を選択し、マラソン大会の検索ができるのが、アールビーズ(東京・渋谷)が提供するアプリ「どれ走る?~マラソンに出よう!ランニング大会の検索アプリ~」。
有名な大会だけではなく、あまり知られていない大会についての情報も手に入る。大会ごとに「エントリーしたい」「エントリー済み」などと記録できるので、複数の大会に参加する人には情報管理に役立ちそうだ。
さあ、今日はどんなルートを走ろうかな――。スマホの画面に表示される地図をなぞったり、タップしたりするだけで地点間の距離を計測できるのが、マピオン(東京・港)のアプリ「キョリ測」だ。標高グラフで高低差も表示されるので、ランニングのルート選びに便利だ。
トレーニング計画を立てて管理できるアプリが「マラソン&ハーフマラソン・トレーナー」(有料)。細かい練習のスケジュールを提案するほか、プログラムをこなすための指導もしてくれる。アプリがまるでパーソナルトレーナーのような役目を果たすため、これからマラソンを始めたい人に向いている。
マラソンの名前の由来は古代ギリシャにあるといわれる。それから2500年以上の時を経て、スマホのアプリが登場した。デジタル時代ならではの走る楽しみ方が見つかりそうだ。
(電子編集部 ゼンフ・ミシャ)
[日本経済新聞夕刊2016年2月25日付]
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