副題に〈江戸落語外伝〉とあるように、「芝浜」「子別れ」「火事息子」等の名作落語には、実は後日談があったという設定の一巻である。
「芝浜」なら魚屋の女房お先が、「火事息子」なら伊勢屋の奉公人定吉が、えんま様の前に引き出されてその続きを語る――ということは、皆、何らかの罪を犯しているわけで。作者の凝りに凝った語り口で〈本当は恐ろしい江戸落語〉が展開することになる。
愛憎の果ての殺し、金目当ての謀(はか)り事等々が落語の持つ向日性とともに語られるのだから、とにかく面白い。
さらに冒頭の〈まくら〉と巻末の〈下げ〉に巧妙な仕掛けが施されていて、落語ミステリにもなっている。
★★★★★
(文芸評論家 縄田一男)
[日本経済新聞夕刊2016年2月25日付]
★★★★★ 傑作
★★★★☆ 読むべし
★★★☆☆ 読み応えあり
★★☆☆☆ 価格の価値あり
★☆☆☆☆ 話題作だが…
★★★★☆ 読むべし
★★★☆☆ 読み応えあり
★★☆☆☆ 価格の価値あり
★☆☆☆☆ 話題作だが…