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えんま寄席 車浮代著 本当は恐ろしい江戸落語

2016/2/25付 日本経済新聞 夕刊

(実業之日本社・1500円 ※書籍の価格は税抜きで表記しています)

 副題に〈江戸落語外伝〉とあるように、「芝浜」「子別れ」「火事息子」等の名作落語には、実は後日談があったという設定の一巻である。

 「芝浜」なら魚屋の女房お先が、「火事息子」なら伊勢屋の奉公人定吉が、えんま様の前に引き出されてその続きを語る――ということは、皆、何らかの罪を犯しているわけで。作者の凝りに凝った語り口で〈本当は恐ろしい江戸落語〉が展開することになる。

 愛憎の果ての殺し、金目当ての謀(はか)り事等々が落語の持つ向日性とともに語られるのだから、とにかく面白い。

 さらに冒頭の〈まくら〉と巻末の〈下げ〉に巧妙な仕掛けが施されていて、落語ミステリにもなっている。

★★★★★

(文芸評論家 縄田一男)

[日本経済新聞夕刊2016年2月25日付]

★★★★★ 傑作
★★★★☆ 読むべし
★★★☆☆ 読み応えあり
★★☆☆☆ 価格の価値あり
★☆☆☆☆ 話題作だが…

えんま寄席 江戸落語外伝

著者 : 車 浮代
出版 : 実業之日本社
価格 : 1,620円 (税込み)

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