日本の新幹線、輸出する? 高速・正確・安全と高評価

イチ子お姉さん 3月には北海道で新幹線が走るわね。実は海外でも日本の新幹線が活躍(かつやく)し始めているのよ。日本は世界に新幹線の技術を売り込んでいるの。
からすけ 日本の新幹線が世界をビュンビュン走るの? うれしいね。どんな国で姿が見られるんだろう。新幹線は海外の電車より何がすごいの?

高速・正確・安全 高い評価

イチ子 3月に開業する北海道新幹線って興味ある?

からすけ 青森から北海道の函館(はこだて)まで行くんだよね。

イチ子 ええ。でもこれからは海外でも日本の新幹線(キーワード)が走るようになりそうよ。

からすけ どこで?

<キーワード>
新幹線 時速200キロ以上で走る幹線鉄道。北陸新幹線は金沢から敦賀(つるが)へ延伸予定で、北海道新幹線も札幌まで延びる計画だ。
高速鉄道 国際鉄道連合の定義によると、時速250キロ以上で走る鉄道。新たに高速鉄道用に建設した路線を走るものが多い。

 イチ子 まずはインドよ。昨年12月、最大都市のムンバイと工業都市のアーメダバードを結ぶ政府の高速鉄道(キーワード)の計画で、日本の新幹線技術の採用が決まったの。高速鉄道は主に時速250キロ以上で走る鉄道を指すわ。インドでの開業予定は2023年よ。

からすけ ほかには?

イチ子 米国のテキサス州でも、2021年以降に開業するダラスとヒューストンを結ぶ民間の高速鉄道で「N700系」がベースの車両が走るわ。車で3時間以上かかるのが約1時間半で着くの。

からすけ これまでは新幹線は世界になかったの?

イチ子 実は台湾で2007年から「台湾高速鉄道」という新幹線が走っているの。日本の新幹線の技術を海外へ輸出した最初の例になるのよ。米国とインドはこれに続くというわけ。

安い中国製 ライバルに

からすけ 高速鉄道の計画はほかにもある?

イチ子 ええ。マレーシアの首都クアラルンプールとシンガポールの間や、オーストラリア東南部、ブラジルなどで計画されているわ。

からすけ 確かフランスやドイツにも速い電車があるよね。日本の新幹線の強みは?

イチ子 フランスのTGVやドイツのICEなど、新幹線と同様に時速300キロ以上で走る速い電車はいくつもあるわ。でもね、新幹線は、世界で初めて最高時速210キロでの営業運転を実現したの。それまで「鉄道先進国」を自負していた欧州勢を驚かせたのよ。そんなスピードに加え、日本の新幹線の強みは運行の正確さね。

からすけ 時刻表通りに走るってこと?

イチ子 ええ。東海道新幹線の場合、1回の運行での遅(おく)れは平均36秒。ほとんど遅れないわ。安全面でも1964年の開業以来、列車の運行が原因の死亡事故はないの。東日本大震災のときも、お客を乗せていた東北新幹線は脱線(だっせん)しなかったわ。

からすけ それなら海外の計画では新幹線が有利だね。

イチ子 それがそうでもないの。最近の最大のライバルは中国ね。インドネシアの高速鉄道計画は昨年、中国が受注したの。米国のロサンゼルスとラスベガスを結ぶ路線でも、中国の企業グループが参加することになったわ。

からすけ 中国の強みは?

イチ子 やはり人件費と材料費が安いので、少ないお金でつくれると売り込んでいる点かしら。

からすけ 日本より安い?

イチ子 インドでの獲得(かくとく)競争では、日本の方が中国より4割ほどコスト高だと言われているわ。日本の考えはこうよ。正確で安全な運行のためには、運転技術をしっかり習得して、線路や電気設備などを保守する仕方を学ぶ必要もあるの。人材育成にも取り組まないといけないし。だからお金はかかるというのが日本の主張ね。でも、少ない費用でつくれるならそのほうがいいと判断する国や地域も当然あるでしょ。

からすけ 中国以外にもライバルはいるの?

イチ子 マレーシアの計画にはフランスやドイツ、カナダなどの企業が注目しているわ。オーストラリアにはフランスが関心があるみたい。

からすけ 世界でなぜ高速鉄道計画が多くあるの?

イチ子 鉄道のメリットは一度に多くの人や荷物を運べることね。飛行機は速いけれど、1つの機体に乗せられる人数は鉄道より少ないわ。自動車と比べてみても時間は短いし、移動にかかる燃料が1人当たりだと少ないから環境にも優しいの。

からすけ 今後は、海外で新幹線を運転したいという子も増えるかもしれないね。

イチ子 そうね。日本の新幹線が世界を走るのは、大人にとっても子どもにとってもワクワクする話よね。高速鉄道は車両や部品、運行システムなどに高い技術が必要なの。新幹線の技術は「メイド・イン・ジャパン」として日本が誇(ほこ)る輸出品になる可能性を秘めているの。そういう意味でも今後が楽しみね。

■旅の快適さ広めた大阪万博

渋谷教育学園渋谷中学高等学校の真仁田智先生の話 東京から大阪までの距離(きょり)約500キロ。1964年に開通した「夢の超特急」新幹線は、それまで特急列車で6時間半かかっていた所要時間を短縮し、現在は2時間22分で着きます。世界に誇(ほこ)る日本の技術とサービスにより、早朝から夜遅くまで安全かつ正確に運行し、日帰り出張を可能にした経済効果は計り知れません。
新幹線の旅客数が増えたのは、1970年の大阪万博でした。国内外から約6400万もの人が月の石や太陽の塔などを見ようと訪れ、その際に新幹線で旅行する快適さも経験したのです。その後、国鉄(現JR)は新幹線を全国に延ばす一方、個人旅行など新しい旅の形を提案していきました。
目的地に早く着いて、ローカル線に乗り継いで旅先を巡れば、すてきな思い出もたくさんつくれる。ここにも新幹線の魅力(みりょく)があるのです。
今週のニュースなテストの答え 問1=8、問2=マイナス

[日経プラスワン2016年2月20日付]