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2食付き1万円前後 「公共の宿」に安く泊まる

2016/2/13付 日本経済新聞 プラスワン

ゴールデンウイークなどの旅行プランを立てている人も多いだろう。宿泊費を抑えたいなら「公共の宿」を利用するという選択肢もある。公共の宿というと質素なイメージもあるが、料理やサービスの面で民間に引けを取らない施設もある。豊かな自然や風情ある温泉を楽しめる宿も多い。上手に活用をして旅費を浮かせたい。

太平洋が一望できる展望温泉風呂、オーシャンビューの客室、旬の海の幸の料理――。茨城県日立市にある「国民宿舎・鵜(う)の岬」は、人気が高くて予約が埋まりやすい宿として知られる。1泊2食付の宿泊料金は大人1名が1万円程度から。夏季や年末年始などには1080円の加算があるが、それでも一般の民間旅館と比べると安価なのが魅力的だ。

には、1泊2食付きで1万円前後から泊まれることで知られる主な施設グループを示した。もともと政府所管の公益法人や自治体、公社など公的機関が運営していたため、一般に「公共の宿」などと呼ばれて親しまれてきた。

政府の法人制度改革や民営化策を受けて一部で運営形態が変わり、現在は一般社団法人などが主体となっている。かつてに比べると施設数は大幅に減ったものの、全国各地に施設がある。特定の組合員向けに特に割安な料金を設定する例もあるが、基本的には誰でも宿泊できる。

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代表的なのが37の宿泊施設のある休暇村(運営は一般財団法人休暇村協会)だ。国立公園などの利用促進を目的のひとつにしてきたため、日光や吉野熊野といった国立公園の中に位置する施設が多いのが特徴だ。宿泊料金は2食付きで大人が1万円前後、子供(小学生)が6000円前後、幼児が3000円前後だ。

客室や旬の食材を楽しむだけでなく海や山のレジャーを楽しむこともできる。施設によってガイド付きハイキングやカヌー、イルカウオッチングなど人気のアクティビティー(別途料金)を選べる。

公営国民宿舎と呼ばれる全国106の宿は、それぞれ地元自治体が管理している(広報活動などは一般社団法人国民宿舎協会)。国立・国定公園や都道府県立自然公園などにあり、温泉を楽しめる宿も多い。宿泊料金(1泊2食付)は大人7000~1万円程度、子供(小学生)6000~9000円程度とやはり手ごろだ。

ハイツ&いこいの村は、雇用保険を財源に設置された総合福祉施設(一部の施設を除く)で、宿泊以外の施設が付設されている例が多い。テニスコートやパターゴルフ、プールなどのスポーツ施設もあり、団体で利用することも想定している。都市近郊に立地する施設も多い。このほか、各種の共済組合が運営する施設も多く、組合員ではなくても一般に利用できる。昨年11月に株式上場した日本郵政の「かんぽの宿」なども全国に多くの施設を保有し、比較的安価な料金で泊まれる。

最近は自治体が宿泊施設の運営を民間企業に任せ、サービスの向上や集客アップを目指すケースも増えている。例えば長野県筑北村では2つの温泉施設を、ホテル事業などを手掛ける共立メンテナンスが指定管理者として運営している。「西条温泉とくら」と「草湯温泉冠着荘」の宿泊料金(1泊2食付)は6500~8000円程度からと安価だ。

長崎県新上五島町が設ける「五島列島リゾートホテル マルゲリータ」は、飲食店経営の際コーポレーション(東京・目黒)が運営する。国民宿舎を全面改装して生まれ変わった。東西に展望が開けた温泉からは朝日と夕日が望め、五島の魚介などで作るイタリアンを味わえる。宿泊料金(1泊2食付)は大人1万6000円前後だ。

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眺望が良く人気の宿も(茨城県日立市の国民宿舎・鵜の岬)

あまり知られていないが、多くの市区町村では、域外にある民間のホテルや旅館などと契約し、一般料金よりも安価に泊まれる助成制度をもつ。こうした指定保養施設は、その自治体に住んでいる人か勤務している人が対象になることが一般的だ。自分の関係する自治体のホームページを見て、どんな場所にどんな宿があるかを確認してみるといいだろう。

公共の宿の中には人気が高くて予約が取りにくい施設もある。前出の「国民宿舎・鵜の岬」は毎月1日、予約受付日の午前中に、3カ月先の土曜日や休前日分が埋まってしまうことがある。夏季や年末年始は往復はがきによる申し込み抽選となる。

のように多くの施設では3カ月~6カ月前くらいから予約受け付けを始める。あらかじめ複数の候補宿を選んでおき、受け付け開始後すぐに申し込むことで予約が取れる確率を高めたい。柔軟に日程を組める人はできればハイシーズンは避け、「他の人が動きにくい季節に旅の計画を立てたい」(旅館コンサルタントの井門隆夫さん)。

公共の宿は大々的には宣伝されないので目に付きにくいが、宿によってはコストパフォーマンスがよいので探してみる価値がある。選択と予約に多少労力はかかるが、宿代の節約につながるので挑戦してみよう。

(ファイナンシャルプランナー 花輪 陽子)

[日経プラスワン2016年2月13日付]

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